2018 Fiscal Year Research-status Report
社会的格差を踏まえた社会関係資本の効果に関する具体的検討:ジェンダー、教育、家族
Project/Area Number |
18K02030
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
喜多 加実代 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30272743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 由香里 活水女子大学, 健康生活学部, 教授 (80280270)
杉原 名穂子 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (00251687)
中西 祐子 武蔵大学, 社会学部, 教授 (90282904)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 社会関係資本 / 社会的格差 / ジェンダー / 家族 / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会的格差の拡大、女性の貧困、家族形成の困難が指摘されるなか、社会関係資本がどのように、何に対して効果を有するかを、その獲得や恩恵の不平等に照準して検証しようとするものである。2018年度は、本研究研究者4名が2013年に実施した質問紙調査やSSJアーカイブから借用したデータの分析を行いつつ、インタビュー調査の質問項目を検討・作成した。質問項目としては、社会関係資本の多寡が、どのような生活状況のなかで生じているのか、それが育児や女性の生活にどのような影響を与えるか、また生活状況や社会構造との関連でどのようなニーズがあるかを探るものを心掛けた。 また、市役所や保育所に依頼しインタビュー調査を実施しつつある。この募集のやり方は、2015年に実施したインタビュー調査の協力者が、階層が相対的に高く、社会関係に高い意識をもっている人が多くなったため、何らかの困難を抱える層や社会関係資本が脆弱である層にアプローチしようとするものであった。しかしながら、応募状況が芳しくなく、応募者はやはり前回のインタビューと同様の層になっているという課題がある。 他方、階層が相対的に高い層や、社会関係資本が豊かな人々であっても、特に子育て及び子育てと就業の両立では困難に遭遇していること、その際にどのような人的資源をもつか、資源を探るか、またどのような支援が支えとなるかの様相がかなり異なることが見えてきつつある。困難や支援ニーズの質の違いにも目を向けた分析と考察も行うことを考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビュー協力者の募集を行っているが、当初の予想より応募が少なく実施が遅れている。スノーボール・サンプリングも含めて今後協力者を増やして実施していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要でも述べたように、当初の計画では、行政窓口や保育園を通じたインタビュー協力者の募集によって、何らかの困難を抱える層や社会関係資本が脆弱である層へのアプローチを考えていたが、これについてはやや難しく、それを補うものとして教育支援NPOなどへの聞き取り調査を考えている。 また、相対的に階層が高い人々や社会関係資本が多い人々でも、子育てや、就業と育児の両立で困難を抱えることは少なくなく、異なる支援のニーズがあるため、格差への視野を疎かにはせず、同時に質的な違いにも目を向けて分析と検討を行うつもりである。
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Causes of Carryover |
インタビュー項目の検討のために集まる機会が想定より少なくてすんだことと、インタビュー協力者の応募が少なく実施が遅れているため。
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Research Products
(4 results)