2021 Fiscal Year Research-status Report
忘れられた地域性データの二次分析 ―人口・家族・村落に関するフレームワークの構築
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18K02035
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中島 満大 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (70774438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 真理子 国立社会保障・人口問題研究所, 情報調査分析部, 研究員 (60800175)
加藤 彰彦 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (70287936)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域性 / 二次分析 / 人口 / 家族 / 村落 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も,昨年に引き続き国立民族学博物館への資料調査を新型コロナウイルスの影響のために断念せざるを得なかった。本年度は(1)歴史人口学における地域性研究の整理,(2)地域類型論に内在する課題の検討を行った。 まず(1)歴史人口学における地域性研究の整理では,特に結婚と離婚の地域性という観点から先行研究を検討した。明治時代初期における結婚と離婚の地域性は,道府県別データによって確認されている。いわばマクロでの,そして「面」による観察が行われていた。徳川時代においては,ミクロレベルとメゾレベルから地域性が導出されてきた。ミクロレベル,個別村落にもとづく研究は「点」による観察であり,明治時代における地域性のトレンドと概ね整合的であった。他方,メゾレベルの研究では,「点」から「面」への拡充が意図されており,ある地域のまとまった複数の村落データが利用されていた。それによっても結婚年齢の地域性を確認することができた。 次に(2)地域類型論に内在する課題の検討であるが,結婚や離婚の地域性は全国的な地図でみた場合,グラデーションとしてあらわれる。しかしながらある領域を取り出して地域類型を立てる際に,ある変数を基準とした場合の地域類型と,別の変数にもとづく地域類型がずれることが予想される。つまりウィトゲンシュタインが提示した「家族的類似性」の問題を念頭に置きながら議論を進めなければならないことが明らかになった。 最後に本研究が利用する集落サーベイデータは,各村落を「点」として扱うことも可能であるし,「面」として統計地図のようなかたちで可視化することもできる。今年度の先行研究の整理や概念の検討を踏まえた上で,最終年度の分析をすすめていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に引き続き,新型コロナウイルスの影響によって,国立民族学博物館への資料調査が実施できなかったことで,進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度を最終年度とする予定であるため,集落サーベイデータやインテンシブデータの二次分析をすすめることを第一の目標としている。次に機会が許せば,国立民族学博物館への資料調査を行い,まだ調査票を閲覧できていない村落のデータを収集したい。最終的には報告書としてまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
昨年に引き続き,新型コロナウイルスの影響によって国立民族学博物館への資料調査が実施できなかったため。したがって情況が許せば,資料調査を2022年度に実施したいと考えている。
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Research Products
(4 results)