2018 Fiscal Year Research-status Report
社会的ひきこもりや暴力等の不適応行動に対する家族支援プログラムの普及と効果検証
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18K02073
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
山本 彩 札幌学院大学, 心理学部, 教授 (80758706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
境 泉洋 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (90399220)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CRAFT / CRA / コミュニティ強化 / ACRAFT / 社会的ひきこもり / 家族支援 / 自閉スペクトラム症 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の社会的ひきこもりは全世帯数の0.5%と推計され、高率に家庭内暴力等も併発することから社会問題になっている。2010年厚生労働省班研究は社会的ひきこもりと同様に本人の支援拒否が多い依存症で効果が実証されている家族支援プログラムCommunity Reinforcement and Family Training(以下、CRAFT)の社会的ひきこもりへの応用可能性を示唆した。CRAFTはその後本研究の分担者らによって2012年に訳本が出版され、2013年以降は申請者らによって社会的ひきこもりへの応用的適用について研究・報告されるようになった。一方でCRAFTの普及は緩やかで研究が少ないのが実情である。 そこで本研究はCRAFTの普及およびトレーニングのシステムをつくり、その後多領域で臨床試験を行い効果検証を行うことを目的とした。2018年度は1)日本で気軽かつ安価にCRAFTに触れられる機会をつくる、2)開発者と調整しながら日本での公認トレーニングシステムをつくる、を短期目標とした。その結果主な実施内容は以下の通りだった。a)2018年5月10日ACRAFT ASIAホームページ開設(ACRAFTはCRAFTを含むより包括的なプログラム群)・その中でCRAFTの紹介動画を無料で閲覧可能とした(それに先立ち2018年1月5日同団体を設立;https://www.acraftasia.org/)、b)7月19~31日ACRAFT先進地オランダを視察、c)10月20~21日・1月12~13日国立障害者リハビリテーションセンター発達障害情報・支援センター主催研修の中でCRAFTやACRAFT ASIA紹介、d)12月9日関係者会議を開き長期計画確認、e)2019年3月14日日本での公認セラピストトレーニングシステムスタート。 また上記について2回学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り順調に進んでいるが、当初予見できなかったことが一つ生じた。それはCRAFTの公認セラピストトレーニングシステムが世界的にも発展途上であることがわかったということである。CRAFTの基になっているCRAのトレーニングシステムについてはwebを利用して、すでに系統的・広範に行われていることから、日本でもまずはCRAのトレーニングシステムから立ち上げることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
残る到達目標は、3)CRAFT公認セラピストを各領域・各地域で増やす、4)多領域を対象とした臨床試験を行う、5)理論的精緻化や事例検討といった質的研究を行う、である。 3)については上記のとおりCRAFTではなくCRAFTの基になっているCRAの公認セラピストトレーニングを目指す。2019年度CRAワークショップが全国で2回開催予定であることから公認セラピストを目指す人が増えることが期待される(8月28~30日と1月17~19日。CRAFTは10月11~13日)。また2018年度同様国立障害者リハビリテーションセンター発達障害情報・支援センター主催研修が6月28~29日(松本市)と10月26~27日(大分市)に企画されており、CRAおよびCRAFTに興味をもつ専門家が増えることが見込まれる。尚、CRAFTのセラピストトレーニングシステムはこれらと並行して期間内に立ち上げる予定である。 4)については2020年度中の開始を目指したい。 5)については第一弾として8月30~9月1日の日本認知・行動療法学会のシンポジウムに申請中である。ここで論点を整理し、その後の議論や事例の集積の素地としたい。
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Causes of Carryover |
2018年度に2回研究打ち合わ会議を行う予定で確保した予算であったが、日程調整によりそのうち1回の会議を2019年度4月に行うことになったため、2019年度に繰り越すこととした。
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Research Products
(4 results)