2022 Fiscal Year Research-status Report
教材開発を目指した高齢者介護施設における新人介護人材育成のプロセスの実態調査
Project/Area Number |
18K02118
|
Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
大場 美和子 昭和女子大学, 文学研究科, 准教授 (50454872)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 輝美 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (90517153)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 介護 / 介護技術 / 会話データ分析 / 外国人介護人材 / ミャンマー / 就労場面の調査 / インタビュー調査 / 技能実習生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、外国人介護人材(長期日本在住者、技能実習生)に着目し、介護の就労場面(グループホーム)において、研修担当者が外国人介護人材にどのように介護技術を教え、そこでどのようなやりとりが行われ、どのような特徴や問題が観察されるのか、就労場面の会話データから客観的に明らかにすることである。インタビュー調査だけでなく、実際の介護の現場のやりとりを会話データとして収録して分析する点に、本研究の特徴がある。これにより、外国人介護人材だけでなく、日本人も含めた介護未経験の新人介護従事者の人材育成のためのマニュアル作成を目指すものである。 2022年度は、追跡調査を行っている技能実習生(以下、実習生)が職場異動となったため、実習生ならびに新しい勤務先の施設長に対するインタビュー調査を行った。 施設長に対するインタビュー調査からは、実習生が当該施設における介護業務を順調に習得し、一人でも業務を遂行できる状態になっていることが明らかとなった。 実習生に対するインタビュー調査からは、新旧の職場を比較して業務を相対化してとらえた上で、介護福祉士国家試験の挑戦など、キャリア形成に関する報告があった。業務の相対化とは、これまでの勤務先で、ある程度は業務を遂行して自信も持てるようになっていたものの、新しい職場ではまた異なる方法で介護業務を行うことを体験し、自身の経験は数多くの方法の1つであったことを認識したというものである。将来、介護技術を教えるような仕事も考えていたものの、まだ多くを学ぶ必要があるという認識に至っていることが報告された。国家試験の準備も進めており、技能実習生という在留資格で入国し、現場での経験を活かし、順調にキャリア形成を行っている成功事例であることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響で現地におけるインタビュー調査・就労場面調査の実施が困難であることに加え、調査対象の実習生が職場異動となったため、インタビュー調査ができる状態になるまで待つ必要があった。インタビュー調査はオンラインで実習生と施設長に対して行い、新しい職場の状況を把握した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、これまで追跡していた実習生の調査を同様に行うことが困難であったため、インタビュー調査を行いつつ、他の現場のデータの分析・収集を行った。具体的には、まず、スリランカ人技能実習生の就労場面のデータの分析を行い、母語や出身は異なっても、就労場面で利用者とのやりとりにおいて類似の困難さを経験していることが見えてきた。次に、これまでの調査・分析から見えてきた利用者との困難なやりとりとなる典型的な場面を選択し、談話完成法により、日本人の介護従事者に対する調査を行った。談話完成法は、特定の場面においてどのようなやりとりを行うのか、具体的に書いてもらう調査方法である。まだ予備調査の段階ではあるが、介護従事者が経験的に認識していた困難な介護のやりとりの場面を、これまでの就労場面の調査と分析から抽出することにつながったといえる。今後は、この抽出した場面に特に着目して収録済みのデータを見直し、談話完成法のデータと合わせ、人材育成のためのマニュアル作成につなげたいと考える。
|
Causes of Carryover |
2022年度もCOVID-19の影響で現地でのインタビュー調査・就労場面調査の実施が困難であることに加え、調査対象の実習生が職場異動となったため、就労場面調査の前提となる新しい職場の状況に関する情報を収集する段階から行うこととなった。このため、オンラインでのインタビュー調査を実習生と施設長に対して行い、新しい職場の状況を把握ならびに、今後の継続的な調査の依頼を行うまでとなり、旅費や謝金の支出が限られた。 今後の使用計画としては、これまでの収集データの分析を進めて学会発表を行ったり、学会や研究会に参加して情報収集をしたりするための旅費を考えている。また、調査は施設と相談して可能な範囲で行い、その旅費と謝金の支出も考えている。
|