2020 Fiscal Year Research-status Report
発達障害者への職場コミュニケーションにおける合理的配慮
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18K02145
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村中 泰子 神戸大学, キャンパスライフ支援センター, 上席政策研究職員 (00456378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 麻友子 和歌山大学, 障がい学生支援部門, 講師 (60754637)
黒石 憲洋 星槎大学, 教育実践研究科, 非常勤講師 (00434449)
鳥居 深雪 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (90449976)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 就労意欲 / 合理的配慮 / 発達障害 / コミュニケーション / 職場定着 / 移行期支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
改正障害者雇用促進法により、法定雇用率の算定に発達障害者を含む精神障害者が加わった。そのため発達障害者の雇用が増加することが予想されたが、身体障害者に比べて、就職活動に苦戦しているケースが目立つ。その背景には、発達障害者との業務上のコミュニケーションや対応の不安があげられる。発達障害者を雇用している企業では『労務管理』が長期定着のための工夫として行われているが、業務指導者の負担が大きいことも示唆された(村中、2019)。 2018、2019年度は、雇用者側に、発達障害者の雇用に関する質的研究を継続的に行い、雇用者側が過度の負担と感じずに提供できるコーチングの環境整備に関する意見交換会を実施した。 2019年度は、発達障害者に就労で必要なコミュニケーションに関して、発達障害の当事者の大学在学中における就労に対する意識や行動の変化を縦断的に検討した。結果は、就労上での『コミュニケーション』に対してポジティブな変化が語られたが、『就労』の条件に対して外発的な動機が語られ、この点は変化が認められなかった。また、就労が『継続』されるには「困った時の自然なサポート」や「枠にはめない」ことが必要であることが示唆された(村中・森、2020)。 また、2019、2020年度は、発達障害者の移行期のコミュニケーションを高大移行の観点から検討した。発達障害の診断を持つ高校生が大学での学修という共通の課題解決を通じて、自己開示や自己理解、また生徒同士のインフォーマルなコミュニケーションがなされるプログラムを実施した。プログラムの効果は、コミュニケーションのリハーサル、グループ参加者からの肯定的なフィードバックが考えられた(鳥居他,2021)。今後は、移行後の適応に対する要因や問題点を検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で、予定していた雇用者側のインタビュー、および当事者のインタビューが全て中止になった。オンラインでのインタビューも検討しているが、特に当事者のインタビューの通信等の条件が揃わず、インタビュー方法の変更または対象者の変更を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている雇用者側のインタビューを実施を予定している。関西圏以外のリクルートを中止し、関西圏でのリクルートを中心に行う。新型コロナウィルス前にリクルートができている雇用者に関しては、対面ではなくwebインタビューに変更する。 また当事者のリクルート方法およびインタビュー方法に関しては、新型コロナウィルスの関係で当初の予定通りには進んでいないため、対象となる当事者を就労中に限定せずに大学生以上を対象に行う。 加えて、仕事上のコミュニケーションの検討のためのプログラムを対象者を学生として実施し、必要なスキルを検討していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスに係る出張地域の制限があり、インタビュー調査が中止になった。そのため、インタビューで生じる旅費、研究協力者に関する謝金、文字起こしに予定していた予算を使用できなかった。 2021年度は、新型コロナウイルスの影響を鑑み、中止分も含めてwebインタビュー調査および仕事上のコミュニケーションの検討のためのプログラムを行う。そのため、研究協力者に関する謝金、文字起こし費用、プログラム実施に係る機材等に使用する予定である。
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