2018 Fiscal Year Research-status Report
生活支援体制整備事業における生活支援コーディネーターと協議体のあり方に関する研究
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18K02160
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Research Institution | Sendai Shirayuri Women's College |
Principal Investigator |
志水 田鶴子 仙台白百合女子大学, 人間学部, 准教授 (70326750)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生活支援コーディネーター / 地域づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は生活支援コーディネーターと協議体の展開方法を明らかにすることを目的とする。A市は海と山に囲まれ、島もあり、市内でも多様な地域特性がある。特に島はUターン者が地域づくりを支えているが、高齢化率も高くなり産業も衰退している。A市の地域づくりの特徴は、県が市を支援し、市の直営の地域包括支援センターと市社協の生活支援コーディネーターが協働しながら地域づくりを進めている点である。今回は地域特性の異なる3地区を視察した。A地区は山間部の集落で、配食サービス事業を立ち上げテスト運営をしていた。買い物が不便で、もともと高齢者の昼食の配食ニーズは高かった。住民自身が地域支えあいを学ぶ中で、地元の豊富な食材と住民のつぶやき、住民力を勘案し配食事業を立ち上げた。今後事業を本格運用したら、依頼数も増え食材の調達、低コストの維持など、現在のような満足度が保てるか不安であるとのことであった。B地区は市のほぼ中心部に位置している、高齢者施設や病院などが近接する地域にある地域活動拠点を訪問した。この地域活動拠点を発掘したのは住民であった。活用されていなかった医師用住宅を見つけ、地域住民が集える場所として市に活用のための働きかけを行うなど再活用の提案をし、現在高齢者の集い場となっている。課題としてあげられたのは、まだ認知度が低く活動拠点を確保したものの、高齢者の集い場の機能が中心なので、今後は子どもも集える場所にしていきたいということであった。空き家の活用などが課題となっているが、再利用によるメリットの広報が重要であることがわかった。C地区ではUターン者が中心となり地域づくりを行っていた。もともと協力し合わなければ暮らせない地域特性だが、都市ルールや考え方を持ち込んだことがきっかけで、協議体が停滞していた。地域の伝統や文化を無視するは地域づくりは停滞することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究が遅れている理由は、調査対象機関の行政等の人事異動など研究計画立案の時点から状況の変化等がある。今後は新しい担当者と密に連絡調整を行いながら、遅れを取り戻していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2019度は生活支援コーディネーターや関係者(行政や住民)にインタビューを行い、生活支援コーディネーターと協議体についての理解の程度や現状での役割、あるべき姿や抱えている不安、現状での課題などについて明らかにする。また抱えている課題への解決方法を調査しながら、生活支援体制整備事業が地域包括ケアシステムにおける地域づくりを進める上で有用な解決方法となるための要因を見出していきたい。同じ市町村であっても地域特性に違いがあるため、その地域特性が地域づくりが前に進まないことの理由に挙げられることもある。しかしながら、地域づくりはどの地域においても喫緊の課題であるため、多様な地域特性があっても、地域づくりの共通基盤や地域づくりにおける生活支援コーディネーターの役割や機能などについて分析する予定である。行政担当者や生活支援コーディネーターの交代などの問題が見られる地域もあるので、現場の負担を十分に勘案しながら調査を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度は本務多忙であったことや調査対象地域の諸事情によって調査が延期になっていた。今年度は予定していた調査計画を遂行する予定である。また研究会の開催し様々な実践者や研究者から知見を得ながら研究を進める予定である。調査に必要な備品や旅費、研究会の開催に際して出席者の旅費等支出する予定である。
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