2022 Fiscal Year Annual Research Report
Women's Co-operative Activities in Mongolia Urban Society : Creating Self-Sufficient Places for Escaping from the Intergenerational Poverty.
Project/Area Number |
18K02162
|
Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
村井 美紀 東京国際大学, 人間社会学部, 准教授 (70202760)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 愛理 東京国際大学, 商学部, 名誉教授 (50166584)
植村 清加 東京国際大学, 商学部, 准教授 (30551668)
松本 伊智朗 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (20199863)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 都市貧困母子 / モンゴル / 生活者の協働 / ライフヒストリー / 自己実現のプロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1990年に自由主義経済に移行したモンゴル国において急激な体制転換下で困窮した都市貧困母子の協働を通じた「自場」(自分の生きる場)の形成過程を、人びとのライフヒストリーと生活実態調査を通じて考察するものである。具体的には、①ウランバートル市で暮らす児童養護施設出身の30歳代前後の女性たち、②フェルト作りNPO法人活動を通じて「自場」形成に取り組む女性たち、③郊外遊牧民女性へのヒアリング・参与観察による調査研究を軸とした。 研究は順調に行われたが、2020年にパンデミックが発生し、現地調査の継続実施が不可能な事態となった。そこで、2022年度夏から秋にモンゴル側の研究協力者に依頼し、2019年度の調査対象者を中心にアンケート調査を行った。その後、国内外の感染状況と行動制限が緩和されたため、2023 年3月に3年振りに彼らの居住地域や仕事場を訪問し、アンケートの追跡調査を行うことが可能となった。調査結果は分析中であるが、現時点では以下のことが確認される。 ①アンケート対象者の居住地域でもあるゲル地区は、一般にスラム街と見なされてきたが、実態は不安定ながらも海外出稼ぎを含む「生業」を持つ共働き世帯の新興開発住宅地である。②養護施設出身や母子家庭の女性たちが働く工房等では、コロナ禍の仕事状況の変化や離婚、子どものケア等の様々な経験をしつつも周囲と助け合い、制作技術を向上させ新製品を作り輸出し、また独立して新たな工房を営む人も現れている。③遊牧民女性も、日本を含むモンゴル国内外への関心や情報ネットワークを持っており、生業としての遊牧の維持や環境に対して積極的な関心を寄せつつ生活を組み立てようとしている。 以上、貧困層とみなされてきた女性たちが、積極的に情報を獲得し、国際的関心を持ちつつ協働しながら不断に生活向上を目指している様態が観察された。
|