2018 Fiscal Year Research-status Report
野菜の蒸し調理における嗜好特性と栄養成分保持特性の検証
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18K02239
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
岸田 恵津 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70214773)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 蒸し調理 / キャベツ / ビタミンC / 嗜好 / カブ / 甘味 / 官能評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,野菜の蒸し調理の特性を明らかにするために,1.嗜好特性として野菜を蒸すと甘味が増強し,おいしさが向上するのか,2.栄養成分は保持されるのかを検証することである。2018年度には,1ではカブを試料として実施した。2では蒸し加熱温度の違いがキャベツのビタミンC(アスコルビン酸,AA)量に及ぼす影響を調べた。 1.カブを蒸し調理(100℃),電子レンジ加熱,茹で調理し,官能評価と糖量等を測定した。蒸し調理試料は,生と茹で調理よりも甘いと評価された。加熱調理後,試料を破砕して糖量を測定すると,茹で調理では糖量が減少したが,蒸し調理と電子レンジでは生と同等であった。試料を圧縮して滲出する糖量(リリース糖量)を測定すると,蒸し調理及び電子レンジ加熱試料ではリリース糖量が生よりも多く,甘味が増強した要因はリリース糖量の増加によると考えられた。蒸し調理では,甘味とおいしさに相関が認められた。 キャベツについても同様の実験を行ったが,加熱後試料糖量の分析結果が安定せず,また,官能評価結果に再現性が認められず再検討を要する。 2.キャベツの中葉について100℃及び70℃蒸し調理における加熱温度の相違がAA量に及ぼす影響を検討した。蒸し鍋と電子レンジで蒸し調理した結果,電子レンジ加熱でのAA残存量が最も多く,次いで100℃,70℃であった。100℃蒸しと70℃蒸しにおけるAA量の経時変化を調べると,10分後の残存率は70℃蒸しで有意に低く,20分でも70℃蒸しの方が低い傾向にあった。蒸し時間を10分にして温度を変えると,AA残存率は100℃で81.1%,70℃で59.2%,50℃で91.2%であり,70℃蒸しの減少量が最も多かった。電子レンジ加熱後に70℃蒸しを行うとAA量の減少が抑制され,電子レンジ加熱で変化した物質が70℃蒸しのAA残存率に影響している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キャベツの蒸し調理における加熱温度の違いがビタミンC(アスコルビン酸)量に及ぼす影響については,前年度からの研究を継続して予定通りに分析でき,論文を投稿し,掲載された。 蒸し調理における甘味の増強について,カブについてはほぼ実験と分析が終わり,論文投稿準備中である。キャベツについては,官能評価と加熱後試料糖量との対応が明確ではなく,追試が必要である。また,官能評価結果に関わる他の要因については分析ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
キャベツに関する検討課題として,次の事項が挙げられる:1.蒸し調理条件の再検討,2.官能評価の項目の再検討と精選,3.リリース糖量を測定するときの圧縮方法 官能評価の結果に関連する要因として,咀嚼力を指標に取り入れ,蒸し調理による甘味の増強の要因を検討したい。さらに,他の野菜や蒸し調理温度を検討する。
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Causes of Carryover |
栄養成分の検証を先に実施し,嗜好特性に関する実験を年度途中から実施した。そのため,クリープメーター自動化改造を3月に行い,年度内に納品済みであったが,改造費1,220,832円については翌年度4月に支払った。結果,多くの未使用額が生じているが,支払い済みであり,翌年度実績に計上する。残額約9万円であるが,ほぼ計画通りの執行であると考える。
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Research Products
(3 results)