2019 Fiscal Year Research-status Report
「他者への欲望」という視座からみた特別支援教育実践の分析
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18K02285
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森岡 次郎 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (10452385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福若 眞人 四天王寺大学, 教育学部, 講師 (50844445)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 教育関係 / 他者 / 遠山啓 / 特別支援教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、前年度に引き続き「理論と実践」、「抽象と具体」の往還のための準備作業として、本研究における「理論」「抽象」の整理を行った。研究分担者に、四天王寺大学の福若眞人氏を加え、哲学的「他者」概念、教育関係における「他者への欲望」という観点から、理論的考察を行った。 教育関係における「他者」概念をより深化させるための一環として、国際教育開発の文脈における「他者」を中心的に論じた『教育と他者』という研究書について書評を行い、『教育哲学研究』誌に発表した。国際教育開発の非対称性と暴力性、ケアの倫理について丹念に検討している本書からは、「他者」としての被教育者へと向けられた「他者への欲望」概念を、政治的文脈へと接続するために重要な視点を得ることが出来た。 また、上記の理論的考察を特別支援教育実践へと接続するための重要人物として、戦後日本の教育運動家である遠山啓の障害児教育論についても考察を行った。本年度は、昨年度からの発展として、遠山の障害児教育論に限定する形で理論的研究を行った。 研究分担者の福若氏は、特別支援、あるいは「他者への欲望」に関連する研究資料の収集・分析に取り組んだ。特に「能力」という概念を検討する現代思想の論点として、アガンベンの「思考の潜勢力」に注目した。また、差別をめぐる論点や、専門性の権力をめぐる論点に関わる資料を収集するとともに、「他者への欲望」に関わるレヴィナスの思想研究に関する資料を収集した。加えて、「生死」の問題、実存的な位相における「他者」概念についての研究を行い、学会発表などを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画調書の予定では、本研究の2年目は理論研究を継続しつつ、教育実践(特別支援教育実践)についての調査、研究を行う予定であった。 上述のとおり、哲学的・教育哲学的「他者」概念の検討については一定の成果があった。また、遠山啓の教育論を考察することにより、能力主義批判と「他者」概念、そして障害児教育の接続に関する理論的な準備が整いつつある。 しかしながら、実際に調査研究を行い、実践者を交えた研究会を行うことについては、実現していない。というのも、春期休業期間中(2月、3月)に実施予定だった、実践者を交えた研究会や「教育と政治」に関する研究会について、新型コロナウィルスの影響により実施することが出来なかった。学校現場への視察や授業実践の見学については、現時点では実現の可能性が見通せない状況ではあるが、可能な限りはオンラインで情報交換を行い、また、文献を用いた基礎理論研究は継続していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果に基づき、引き続き理論研究を行うとともに、教育実践の分析を行っていく。研究分担者との役割分担を明確にしつつ、教育哲学の基礎理論研究、および、特別支援教育における「他者への欲望」の具体的な検討を進めていく予定である。 新型コロナウィルスが収束した後には、これまで行っていた研究会を再開し、また、前年度に実施予定だった教育実践者たちとの連携を実現する予定である。教育実践者、研究者との協力体制を構築するために、2019年度までは執行することの出来なかった人件費の中から事務補助員を雇用し、本研究をより推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
2月、3月に行う予定であった研究会が新型コロナウイルスの影響で中止・延期となり、研究会にかかる旅費、および講師謝金等の人件費が未執行である。また、児休会実施のための事務補助員人件費、および、消耗品や関連文献調達のための物品費についても、年度末の予定変更のために差額が生じている。
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Research Products
(5 results)
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[Book] 教育原理2019
Author(s)
香川 七海, 福若 眞人, 蒲生 諒太編
Total Pages
156
Publisher
七猫社
ISBN
978-4908869143
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[Book] 言葉の持つ力2019
Author(s)
山下文子監修、橋本和子ほか編(福若眞人分担執筆)
Total Pages
180
Publisher
ふくろう出版
ISBN
978-4-86186-750-7