2022 Fiscal Year Research-status Report
「他者への欲望」という視座からみた特別支援教育実践の分析
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18K02285
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
森岡 次郎 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 准教授 (10452385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福若 眞人 甲子園大学, 栄養学部, 講師 (50844445)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教育関係 / 他者 / 能力感 / E. レヴィナス |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、前年度に引き続き、本研究における「理論」領域に焦点化した研究を行った。研究分担者である福若眞人氏とともに、関西教育学会年報第46巻に「『できる』ようになることを志向する教育観・人間観に対するオルタナティブの探究」という共著論文を投稿し、掲載された。本論文は、前年度に関西教育学会第73回大会で行った自由研究発表の内容がもとになっている。特別支援学校における教育実践記録の分析、および、ジョルジョ・アガンベンの議論を検討し、本研究課題における「他者への欲望」概念についての理解を深めた。 研究代表者の森岡は、「教育の多様性と教師の多様性」「SDGsを語る視座―鳥山敏子の教育実践を通して」といった研究成果を発表することを通じて、主として教育実践に関する原理的考察を行った。 研究分担者の福若氏は、「学校教育における『家族』の意味作用―レヴィナス思想における『家族』・『死者』・『意味』からの示唆」「いかなる『問い』をめざして進むか:レヴィナスに向かって/レヴィナスとともに歩む途」「安喰勇平著『レヴィナスと教育学―他者をめぐる教育学の語りを問い直す』」などの論文や書評などを発表し、本研究におけるレヴィナス理解を深めるための研究を行った。 学校の現場、とりわけ特別支援学校においては、未だに新型コロナウイルスの影響により外部者の授業見学などについてはハードルが高い状況であるが、昨年度・今年度に行った基礎理論研究の成果により、より具体的な授業実践について分析していくための準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の本研究は、前年度同様に「理論」研究を中心に行った。研究代表者(森岡)が研究分担者(福若)と共著で論文を発表したこと、また、森岡が教育実践の理論的分析を、福若氏がレヴィナスの思想についての研究を行い、各自が、複数の論文を発表したことは、十分な研究成果であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度が最終年度の予定であったが、新型コロナウイルスの影響により、本研究の計画にあった教育実践との接点が不十分であったため、研究機関を延長し、2023年度に総括的な研究を行う。引き続き理論研究を行うとともに、オンラインを活用しつつ、教育実践とのかかわり、教育実践の分析を行っていく。今後はこれまでの理論的成果を元に、教育実践に関する調査研究を行っていく。 研究分担者との役割分担を明確にしつつ、教育哲学の基礎理論研究、および、特別支援教育における「他者への欲望」の具体的な検討を進めていく予定である。 教育実践者、研究者との協力体制を構築するために、2022年度に引き続き、人件費の中から事務補助員を雇用し、本研究をより推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
各種学会、および予定していた研究会などがオンライン実施となった影響により、本助成金からの旅費の支出がなかったため、差額が生じている。研究期間を延長し、最終年度には、本研究のまとめとなる成果を発表するために、対面での学会参加、事務補助員の雇用などを予定している。
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Research Products
(7 results)