2018 Fiscal Year Research-status Report
私立大学教育学部におけるカリキュラムの標準性と自律性の形成に関する基礎的研究
Project/Area Number |
18K02290
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
浦野 東洋一 帝京大学, 教育学部, 教授 (70002467)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 高樹 帝京大学, 教育学部, 准教授 (20549711)
小入羽 秀敬 帝京大学, 教育学部, 講師 (70609750)
五十嵐 卓司 帝京大学, 教育学部, 講師 (80783513)
谷村 英洋 帝京大学, 教育学部, 助教 (50614632)
葛西 耕介 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (00769010)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 教育学部カリキュラム / 教育学教育 / 内部質保証 / 標準化(スタンダード化) / 教育の自律性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトにおける今年度の研究活動の概要は、以下の通りである。 (1)プロジェクトメンバーによる研究会を7回開催し(①5月1日、②6月4日、③7月16日、④9月12日、⑤10月22日、⑥2月5日、⑦3月18日)、研究計画を具体化する研究打合せを行うとともに、関係する文献を検討した。検討した主要な文献は、日本社会学会「倫理綱領にもとづく研究指針」、日本学術会議「大学教育の分野別質保障の在り方について」、同「広田照幸 教育学(試案)」、東京都教育委員会「東京都教職課程カリキュラム」、谷村英洋「帝京大学教育学部一期生の授業・学習態度と学習成果」、林泰成ほか編『教員養成を哲学する』、日本教師教育学会『教員養成研究ハンドブック』、中教審答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」、『教育制度学研究 25号』『日本教師教育学会年報 27号』『日本教育行政学会年報 44号』『日本教育経営学会紀要 60号』『日本教育法学会年報 47号』収録の教師教育関係論文等である。これらの検討を通して、本研究のテーマである「教育学(部)教育の標準性」や「内部質保証」に関わる最新の動向について、研究メンバー間での共通理解を深めた。 (2)「教職課程コアカリキュラムの受けとめ」、「2018年度教職課程再課程認定への対応」、「教育学部のカリキュラムの標準性と自律性について」を中心テーマに、都内私立大学の事務職員2名、同教育学部教員8人(本件科研費研究メンバーではない)、都内の大学教員5人から面接聞き取り調査を、および、その他の大学教員7人からインターネットによるアンケート調査を実施した。この調査により、この間における教員養成の標準化政策をめぐる各大学の対応の傾向性という、重要な考察課題への手がかりを得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
われわれは「①国が制定した教職課程コアカリキュラムの受けとめ(評価)、②2018年度に実施された教職課程再課程認定への対応、③私立大学教育学部のカリキュラムの標準性と自律性についての現状認識と見解(意見)」等に関する全国規模でのアンケート調査の実施を、2019年度に予定している。上記「研究実績の概要」(2)で述べた面接聞き取り調査とアンケート調査は、そのための予備調査の性格をもっていた。調査を通して、われわれは多様な現状認識、評価、理解・意見を知ることができた(それは特に、標準化政策に対する各大学機関=教育学部や教員養成課程の対応の動向と関わる。大学教育の内部質保証という問題意識に即してみたとき、標準化の流れが、その当初の政策的意図から離れて、実践の現場にどのような影響を与えるのかを慎重に見極める必要性を、これらの調査を通して看取した)。同「実績の概要」(1)に記した文献の検討結果とあわせて、われわれは2019年度に実施する全国規模のアンケート調査の設問、選択肢を適切に作成するために必要な知見を得ることができた。 一方、FD等の実践研究や、教育学(部)教育の自律性をめぐっては、その実践的検討を行うための条件をじゅうぶんに確保するに至っていない。次年度は、こちらにも重点を置いた研究活動が求められる。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度と同様、研究メンバーによる定期的なミーティング・研究会の開催を行うのはもちろんのこと、そこでの検討対象を、日本学術会議が作成している分野別「参照基準」や、大学改革支援・学位授与機構がまとめた「教育の内部質保証に関するガイドライン」など、高等教育制度改革関連の研究へと広げていくことが重要となる。 また、各関連研究成果の検討を行いつつ、われわれの「大学教員」として日々教学活動を行う現場である、各教育学部・教員養成課程での日々の教育活動を捉え直す実践研究へと展開していくことも求められる。「教育の自律性」の検討とも関わるこの課題については、学びの主体である「学生の声を聴く」実践を軸としつつ、学内のFD活動や民間の教育研究運動とも連携しつつ、検討の機会を確保していく予定である。 以上をふまえて、教育学部の自己変革・内部自治の可能性に向けた専門的知見収集と、その研究枠組みへとつなげる議論を、研究メンバー内で進展させていく予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由の一つとして、聞き取り調査等予備調査にかかった旅費や謝金等が当初の予想よりも安価で済んだことが挙げられる。ただし、これはあくまで次年度から最終年度にかけて行う、本格的な質問紙調査に向けた慎重な配慮によって生じた結果でもあり、また、次年度の研究計画においてかかる費用(予想される研究メンバーの教師教育系・大学教育系の学会出張・研究報告関連費用や研究報告資料作成関連諸費用)が消費税増税の可能性などで計画当初より不透明な事情があること、なども出費に慎重を期した背景として影響している。今年度も研究メンバー間での共通理解を得ながら、引き続き慎重な使用を行いつつ、研究成果につなげていく予定である。
|
Research Products
(5 results)