2019 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災被災地のコミュニティ形成を支援する社会教育の構造と論理
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18K02300
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
手打 明敏 東京福祉大学, 教育学部, 教授 (00137845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 孝典 筑波大学, 人間系, 准教授 (30453004)
池谷 美衣子 東海大学, 現代教養センター, 講師 (00610247)
生島 美和 弘前学院大学, 文学部, 准教授 (80535196)
丹間 康仁 帝京大学, 教育学部, 准教授 (10724007)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地域活性化 / まちづくり / 学校再編 / ボランティアネットワーク / 寺院の社会貢献活動 / 女性の社会参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災による津波被災地である宮城県山元町の花釜区を中心とする浜側地域の地域再生と賑わいを取り戻し、活性化に取り組む山元町内外の団体等の活動を支援する社会教育の役割を解明するため調査研究活動を行った。本年度は震災に取り組んでいる1)山元町住民とボランティア団体の活動とそうした地域復興、地域活性化の活動の拠点となっている仏教寺院普門寺についての調査、2)「山元町公共施設等総合管理計画」(2017年3月)等にもとづく小・中学校再編計画策定にかかわる進捗状況についての調査、3)震災を契機とした女性の社会参加・文化活動についての資料収集等を実施した。 1)に関しては、山元町内外の地域再生活動に関わる住民団体、ボランティア団体のネットワークの中心としての普門寺と山元町内外の人々、団体間の「つながり」を形成するファシリテーター的役割を果たしている普門寺住職へのヒアリングを実施し、その社会教育的意義を明らかにした。2)に関しては、山元町での少子化の動向を踏まえた小・中学校の適正規模・適正配置の検討過程について、震災後の新たなコミュニティづくりとの関連のなかで動向を把握したほか、津波被災を受けて廃校となった旧・中浜小学校の震災遺構化の取り組みの過程を明らかにした。3)に関しては、震災以前に社会教育職員または社会教育活動に積極的に取り組んでいた住民が、震災を経て新たな活動を展開してきていることが着目しうるとして、その調査に向けた資料収集を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災後のコミュニティ形成の担い手となる若者の取り組みとして注目していた、山元町の地域活性化をめざすイベント「やまもとはじまるしぇ」を中心的に担っている若者にヒアリングを実施する計画であったが、日程の都合が合わず当初予定した3名のうち1名のみとしかヒアリングできなかった。次年度実施に向けて準備を進めたい。また、3月に予定していた山元町教育委員会学校教育課等への聞き取り調査が新型コロナウイルス感染拡大の影響で次年度に延期せざるをえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度にあたるので、山元町の地域再生、活性化に取り組む諸活動について残されたテーマについての調査を実施する。 第1に、山元町の活性化に取り組む若者へのインタビューとそうした若者の活動を支援する町行政関連部局への聞き取り調査を実施する。第2に、震災後のコミュニティにおいて社会教育体制とともに学校教育体制がいかなる変容をみせながら整備されていったかについて、山元町における小・中学校の再編整備の過程に注目し、教育機関の再編整備の方針やその検討過程の議事録の分析を進める。さらにそうした教育条件整備が行われるなかでの地域と学校の連携・協働に関する取り組みの状況、学校づくりとまちづくり施策の連動について、町行政担当部局への聞き取り調査等により明らかにする。第3に、山元町の女性団体リーダーへのヒアリングを実施し、地域活性化に果たす女性団体の役割を明らかにする。 こうした調査結果をふまえ、東日本大震災被災地のコミュニティ形成を支援する社会教育の構造と論理を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」に記したように、各研究担当者が予定していたインタビュー調査が新型コロナウイルス感染の拡大の影響や日程の都合により、予定していた調査が実施できなかったことによる。 次年度は、未実施であったインタビュー調査、現地での資料の補充調査を実施するとともに、最終年度の報告書作成に向けての研究会を2回実施し、研究成果報告書を作成する計画である。
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