2018 Fiscal Year Research-status Report
Comparative study between Japan and United States of America on the guarantee of educational opportunities for language minorities based on bilingualism
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18K02306
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
滝沢 潤 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20314718)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バイリンガリズム / 言語マイノリティ / 教育機会保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本におけるバイリンガリズムの理念に基づく教育機会の保障に関する総合的な研究の一部として、次の2点を目的に行うものである。第一に、アメリカにおけるバイリンガリズム を理念とした言語マイノリティの教育機会の保障に関する理論モデルを構築する。第二に、 その理論モデルに基づいた日本の現状分析を通じて、日本におけるバイリンガリズムを理念 とした教育機会の保障に関する課題とその解決策を明らかにすることである。その際、以下のような2つの核心的問いを設定した。 (1)カリフォルニア州におけるバイリンガリズムを理念とする言語マイノリティの教育機会 の保障が、どのような社会的、行財政的、制度的条件の関連(=「構造」)において実現されているのか (2)(1)の「構造」を基にした場合、日本の各自治体の現状にはどのような課題があり、その課題克服にはどのような取り組みが求められるのか 本年度は、まず、カリフォルニア州教育局等が公開している学区教育委員会の客観的条件に関するデータ(言語マイノリティ児童生徒数、社会経済的背景等)と、州教育局が公開している英語および言語マイノリティの第一言語の習得と学力向上に関するデータを用いて、「効果のある学 区」と「効果のない学区」の抽出を行った。抽出の際、州教育局が公開しいてる最新データがおよそ10年前のものであることから、付加的なデータによってより抽出の正確性を高めることが必要となった。そこで学区の効果性の判断基準を暫定的に設定したうえで、日本との比較考察を考慮して、「言語マイノリティ児童生徒数が多く、第一言語に多様性がない学区」に関する現地において情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、カリフォルニア州教育局等が公開しているデータを用いて、本研究が対象とすべき「効果のある学 区」と「効果のない学区」の抽出を行った。しかしながら、抽出の際、州教育局が公開しいてる最新データがおよそ10年前のものであることから、付加的なデータによってより抽出の正確性を高める必要となった。そこで学区の効果性の判断基準を暫定的に設定したうえで、現地において情報収集を行ったものの、収集した情報・資料の分析を踏まえた分析を十分行うことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究が対象とすべき学区の抽出について、本年度収集した情報や資料を通じて正確に行うとともに、現地で収集した情報・資料の分析を早急に進めることで、来年度に本格的な訪問調査を実施することができると考えている。その際、暫定的ではあるが、現在抽出している学区には、これまで複数回にわたって訪問調査を実施してきた学区教育委員会や学校が含まれていることから、当初の研究計画を十分達成することができると考える。
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Causes of Carryover |
本年度行った公開データによる研究対象(学区)の抽出が公開データの制約により暫定的なものとなったため、当初予定していたカリフォルニア州での現地調査の期間を短縮し、次年度以降に十分な調査ができるように配慮した。来年度は、十分な期間を現地での訪問調査に当てることができるよう旅費を中心に計画的に使用する予定である。
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