2019 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本における教育学部の成立過程に関する事例研究
Project/Area Number |
18K02332
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
釜田 史 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (60548387)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教育学部 / 学芸大学 / 師範学校 / 教員採用 / 選考試験 / 学報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、戦後日本における教員養成系大学・学部の成立過程について、国立公文書館や各大学に所蔵されている史資料を活用し、その全体像を明らかにすることである。具体的な研究課題は、①学部・大学院などの組織の運営や改革の動向、研究・教育体制に関する分析、②学生の大学生活(学生生活実態調査、大学生協の発行物、学生新聞、サークル活動の記録、ゼミ活動の記録など学生たちの思想と行動)に関する分析、③入学試験と進路(入試制度の変遷、入学者の属性、卒業後の進路)に関する分析、④附属学校園の歴史に関する分析、の四つを柱として意識し取り組んでいる(船寄俊雄「解説 教員養成・教師論」同編著『論集 現代日本の教育史』第2巻<教員養成・教師論>日本図書センター、2014年、573-575頁を参照)。 本年度は、当初の計画にしたがい、愛知学芸大学/愛知教育大学を中心に各大学レベルで実行された教育学部改革や教員養成教育等に関わる史資料の収集・整理に取り組んだ。今年度は、とくに上記の研究課題のうち②に関わる史資料を多く収集することができた。具体的には、愛知教育大学が統合・移転後の1971(昭和46)年9月に創刊した「学園だより」という教職員と学生の寄稿によって構成される学内のニュースレターや、大学祭に関わる各種パンフレットやサークル活動の記録集などである。 また、学生たちの卒業後の進路について法制度や数値的データの整理を行った。愛知学芸大学/愛知教育大学の卒業生たちの多くが、愛知県内の公立学校等の教職員になっていたことから、愛知県で実施された公立学校教員選考試験制度史や受験者数・合格者数・合格率(『愛知県教育公報』や『愛知県教育年報』による)に関わる史資料の収集・整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記のように自己評価を行った理由は、本年度中に「学報」の目次等を整理し基礎的な資料集として刊行することを目指していたが、完遂することができなかったからである。
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Strategy for Future Research Activity |
1)次年度中に「学報」など基礎的な史資料に関する報告書の刊行を目指す。 2)本年度実施した資料調査の結果、新たに愛知教育大学が長年にわたって発行していた刊行物(「学園だより」)がまとまって確認することができ、これらの史資料を整理することをとおして、学生側の視点なども取り入れつつ、研究を進めたい。 3)卒業生の出口=進路(多くは、愛知県内の公立学校教員)に関する研究も取り入れることにより、愛知学芸大学/愛知教育大学が果たした役割の全体像を捉えることに努めたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、予定していた資料集(報告書)が刊行できなかったからである。 次年度中の刊行にかかる経費として使用する。
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