2018 Fiscal Year Research-status Report
戦後教育改革における「地域とともにある学校・大学」のガバナンスに関する研究
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18K02362
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
日永 龍彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60253374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石渡 尊子 桜美林大学, 心理・教育学系, 教授 (40439055)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大学管理 / 住民参加 / 新制高校 / 農業教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の資料調査活動は、国立国会図書館(憲政資料室・関西館)、沖縄県立図書館、沖縄県公文書館、京都府立京都学・歴彩館、広島県立図書館などにおいて行った。本課題の研究目的に即してその成果を整理すると以下のとおりとなる。 (1)琉球における大学のガバナンスに関わる制度改革構想とその実現過程の解明に関する課題については、USCAR(米国民政府)、中央教育委員会、立法院等の関連資料を収集し、私立大学全体のガバナンスを担うことになった「私立大学委員会」の設立過程を解明することができた。 (2)新制高校を中心とした学校のガバナンスに関わる制度改革構想とその実現過程の解明に関する課題については、農業教育を含む職業教育に焦点をあて、制度設計の指針となった諸文献をできるだけ網羅的に収集するとともに、京都、広島等の府県単位での取り組みや個別農業高校における実践記録を収集し、中央におけるIFEL(教育指導者講習会)での講習内容が伝播していく状況の一端をつかむことができた。 これらの資料をもとに、2018年6月の日本教育法学会第48回定期総会において「米軍統治下における琉球大学の管理運営制度-琉球大学設置法・管理法の成立過程を中心に」と題して口頭発表を行うとともに、2019年3月の大学評価学会第16回大会において「米軍統治下の琉球における私立大学行政制度の構築に関する考察」と題して口頭報告を行った。また、これまでの研究の成果の一部を取りまとめた「琉球大学設立時における管理運営モデルの導入過程」と題する論稿が、2018年8月刊行の『九州教育学会研究紀要』第45巻に掲載された。本論稿では、占領期日本に導入が試みられたもののうまくいかなかった理事会モデル(地域住民等の代表が理事を務める管理運営モデル)が琉球大学に導入されえた背景を詳細に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、①新制大学のガバナンス改革、②新制高校のガバナンス改革、③戦後教育改革におけるACE(米国教育審議会)の具体的関与、の実態解明を目指している。①については今年度において琉球の政府立大学・私立大学におけるガバナンス改革の全体像を明らかにでき、複数回の口頭発表や論文掲載につながった。②については、制度設計の基本理念を把握するための諸資料の収集が概ね終了し、その地方への伝播状況の一端をつかむことができた。③については訪米調査事態ができなかったため未着手であるが、①②の進捗状況をふまえると全体の計画としては概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題が掲げる課題のうち、新制高校のガバナンス改革については、本年度収集した資料の整理を進めるとともに研究発表ができるよう追加的な資料調査を行う予定である。また、戦後教育改革へのACEの関与については、米国スタンフォード大学フーバー研究所での資料調査が不可欠であり、次年度できるだけ早期に訪米資料調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本務先の業務の影響等により訪米資料調査ができなかったことが、次年度使用額が生じた理由である。次年度のできるだけ早期に訪米資料調査を実施する予定である。
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Research Products
(4 results)