2021 Fiscal Year Research-status Report
人口減少地域における「場としてのコミュニティ」を核とする地域教育改革の開発的研究
Project/Area Number |
18K02363
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
武井 敦史 静岡大学, 教育学部, 教授 (30322209)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 桂吾 静岡大学, 教育学部, 准教授 (20646674)
中村 美智太郎 静岡大学, 教育学部, 准教授 (20725189)
伊藤 文彦 静岡大学, 教育学部, 教授 (60184686)
鈴江 毅 静岡大学, 教育学部, 教授 (70398030)
梅澤 収 静岡大学, 教育学部, 教授 (90223601)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 場 / コミュニティ / 地域 / 人口減少 / 学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は前年度までの研究活動を基盤にして、本研究の研究成果を著作(武井敦史編著『地場教育 此処から未来へ』静岡新聞社2021.7.)のかたちで刊行した。本研究チームを中核メンバーとして刊行された書籍は、研究代表者が編著者、研究分担者のうち3名が著者となり、またその他関連分野の研究者および地域コミュニティや学校の教育実践者等も著作者等含め、全15名の執筆者により著されたものである。 同書は2部構成となっている。第Ⅰ部は本研究のテーマとする「場としての地域」という視点を多角的に検討したもので、今後の人口動態と未来社会のあり方を踏まえた上で、今後の教育のあり方について論じたものである。第Ⅱ部は静岡県内をフィールドとして、本研究との関連で実施されたフィールドワークや実践記録を基礎資料に、これに本研究の中で検討された視点から解釈を加えるかたちで、研究成果をかたちにしたものである。 尚、本書はより広く実践に供する観点から、純粋な研究書としてではなく、より広く教育関係者が読むことのできるよう、平易な表現・体裁をとった著作として刊行することとした。 加えて、本研究の成果を今後のさらなる研究発展に活かすため、科学研究費補助金基盤研究Cに「地域を場とする学校・教科横断型プロジェクト学習推進のためのデバイス開発」をテーマに応募し採択された。この研究は本研究の成果を、特に学校カリキュラムの中で活かすための方法を探る目的で計画されたものである。 上記の通り、本研究の企図した成果は既に公表されているが、その成果と課題を探るという課題については、感染症の流行にもあって十全に達成することができなかったため、次年度も研究を継続することとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は人口の急激な減少によりコミュニティの活性維持と学校教育の質的改善に課題を抱えている地域を対象にアクションリサーチを実施し、地域コミュニティが中核となって教育環境の改善を図ることで、同時に地域社会の自律的活性化を促すための手立てを開発し、これを汎用性のあるモデルとして概念化することを目的として推進してきた。 本研究においては、アクションリサーチを中心的な手法として推進したきたが、2020年度より発生した感染症の拡大により、フィールドワークの実施や学会等における報告が困難となり、研究計画にも継続的に遅延が生じてきた。一方で、同感染症の拡大により、オンラインを活用した教育活動の普及拡大や、一部首都圏からの移住活性化による今後の人口変動の見通しの修正など、本研究の基盤として想定している社会状況にも若干の変化が生じはじめている。 こうしたことから、本研究の研究計画は当初想定していたよりもやや遅れる結果となったと同時に、本計画全体の方法や成果の表現・公表についても、一部修正することになった。これらの修正は研究計画策定の当初としていたものではなかったが、上記本研究の目的に鑑みるとき、著作の刊行等を通して、結果的にその研究成果をさらに拡大しうる契機となる要素を含むものであり、来年度を本研究の最終年度として本研究全体を総括し、研究テーマのさらなる拡大発展を期待することができるものとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、2022年度が本研究の最終年度にあたる。本研究の企図した成果の一部は既に公表されているが、刊行の著作の実践的効果とその課題を探るため、一定の時間をおいてその効果性を検討する必要があり、この課題を遂行することと、本研究の今後の発展方向を探ることが2022年度の研究課題である。 まず、著作の成果検討に関しては、オンライン、または対面による研究会等を開催し、その成果と課題を探る。同検討会には、研究者のみならず、地域と教育に関係する人々に広く参画を求めた上で、本書においてテーマとしている「教育による地方創生」や「地域を場とする教育活動の展開」等について、意見交換を行い、今後の研究活動のあり方についての示唆を得ることとする。 今後の発展方向の模索に関しては、上述の通り「地域を場とする学校・教科横断型プロジェクト学習推進のためのデバイス開発」(科学研究費補助金基盤研究C)に2022年度より採択されることが決定してる。同研究は本研究で開発してきた研究知見を特に学校カリキュラムを活用して実現するためのものであり、地域との連携によるプロジェクトベースの教育活動を展開する際に障壁となりうる、学校組織体制の整備、コミュニティスクールとの連携関係、教科カリキュラムとの接合関係、評価方法の整備など、一連の課題に対応するためのデバイスを開発するものである。 同研究の推進においては、本研究においてもフィールドとしてきた3つの自治体において今後検討・推進することが計画されている。本研究の成果を円滑に付きの研究へと継承していくことが2022年度の課題である。
|
Causes of Carryover |
前述の通り、感染症の拡大により、当初想定していた研究計画を大幅に見直すことを余儀なくされ、申請当初想定していた研究方法から大幅な修正が生じているが、2022年度までに次年度使用額を全額使用して、研究を関係させる計画である。 来年度研究計画に記載の通り、2022年度にはオンライン、または対面による研究会等を開催し、その成果と課題を探ることが次年度の主要な研究活動として想定される。 研究費の次年度使用額のうち、検討会の開催に関する研究活動については次の目的のために使用することが想定される。すなわち、1)会議開催のための会場費、2)会議参加者のための交通費、3)オンライン会議システムにかかる経費、4)記録のための動画撮影機材及び記録メディアである また、本研究活動全体の総括に関して、想定される研究経費は次の通りである。1)学会大会参加及びそのための出張、2)研究の今後の発展拡大に関する専門性に関する専門知識の提供(謝金)、3)消耗品等その他必要経費である。
|