2018 Fiscal Year Research-status Report
A study on children's financial socialization and financial education in the financial capability perspective
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18K02385
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
松川 誠一 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20296239)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 金融社会化 / 金融リテラシー / 子ども / 小学生 / 金融ケイパビリティ / 経済社会化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、主に以下の2点についての研究の進展がみられた。 (1) 子ども期・青年期の金融リテラシーや金融社会化、金融リテラシー教育に関連する英文論文についての情報を集め、可能な限り包括的なデータベースを作成した。成人後期や老年期に特化した論文については必ずしも対象とせず、子ども期から青年期にかけての研究に焦点を合わせた。データベースには1000件ほどの資料を集録できた。子どもの消費者社会化についての論文(特にマスメディアの影響に焦点を当てたもの)は、1950年代半ばから現れているが、金融社会化については、1990年代に入ってから多く公刊されはじめ、2000年前後に1つ目のピークが形成されたことが確認できた。研究対象は、高校生と大学生がほとんどであり、中学生以下を対象者とした研究は極めて少ない。これは、公教育で金融教育プログラムが導入されているのが高校以上であることと関係していると思われる。本研究が対象としている小学生については、欧米での研究は皆無に近いと考えられるが、小学生へのアクセスが比較的に困難であること、小学生期では、まだ大人の意味での金融リテラシーが形成されていないと思われていることなどが影響しているものと思われる。 (2) 先行研究の検討をもとにして、2019年度に実施予定の小学6年生とその親に対する調査に用いる調査票を作成した。狭義の金融リテラシーを測定する尺度が小6では十分な妥当性をもっていないと考えられるため、子どもの経済・金融行動全般を捉えるような項目を準備した。調査項目は、金融・経済活動の具体的な経験だけでなく、先行研究において重要性が指摘されながらも実際に測定される機会は少ない、主観的・情動的な評価など価値観や態度を測定できるような項目を含めることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に実施予定の大規模調査で用いる調査票の設計に向けた準備は予定通り進んでいる。先行研究の調査も一応の目処をつけ、データベース化した情報を用いて、調査項目の選定を行うことができた。2019年度には子ども票と保護者票の2つを作成しなければならないが、より重要な子ども票については年度末に草案を纏めることができ、保護者票については調査項目案の選定まで作業を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、子どもの金融社会化をテーマとした大規模な自記式調査を行う予定である。親子ペア・データを収集するために調査会社を利用することから、まずは調査委託を行う会社を選定し契約うえ実査を行う。実査は、調査会社との調整作業に要する時間にもよるが、小学生の夏休み期間中に実施することを予定している。実査が終了し収集されたデータの整理を行った後、2019年11月ごろにはデータの分析作業に入る予定である。基礎的な集計・分析の結果は2020年1月までにまとめる予定である。2019年度の終わりには、第1次的な調査結果の報告を学会等で行う準備を終えたい。
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Causes of Carryover |
交付決定時に通知された直接経費が申請時の計画額よりも減額されている。そのため、2019年度に実施予定の大規模調査に関する調査会社への委託費用について、計画時に想定していた規模を確保する必要が生まれ、2018年度の予算の一部を2019年度に繰り延べることでこれに対処することにした。繰り延べられた予算については、2019年度に配分予定の予算と合算して、委託調査費用として2019年度中に執行される予定である。
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