2019 Fiscal Year Research-status Report
A study on children's financial socialization and financial education in the financial capability perspective
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18K02385
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
松川 誠一 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20296239)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 金融社会化 / 金融リテラシー / 子ども / 小学生 / 金融ケイパビィティ / 経済社会化 / インターネット調査 / 母親 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、年度後半に実施予定であった大規模インターネット調査で使用する調査票を準備する作業に充てられ、2020年3月に実査を行い、データを入手した。 インターネット調査は、子どもに答えてもらう質問からなる子ども票と、その母親に答えてもらう質問からなる母親票によって構成され、母子ペアデータを入手するものであった。調査対象者は、インターネット調査会社が保有するリサーチパネルのなかからスクリーニングを行い、調査時点で小学4年生から中学1年生となっている子どもを持つ母親を選抜し、調査協力を得られた母親に対して、当該世帯の社会経済的階層や母親の子どもに対する金銭面でのしつけに関する質問を行った。母親による回答のあと、調査対象となる子どもにデバイスを渡してもらい、子どもに対して金融ケイパビリティに関する質問を中心とする調査を行った。 小5,小6の子どもを優先的にサンプリングし、追加的に中1、小4サンプルを捉えられるようなサンプリングの操作を行ったため、全サンプル数約4000の内、小5、小6がそれぞれ約3分の1、中1が4分の1、小4が6%となった。 世帯の社会経済的階層については、年間世帯所得、母親学歴、父親学歴、配偶関係、母親の週当たり労働時間、就業形態、蔵書数のデータを集めた。子ども票の部分においては、金融行動や金融行動に付随する意識(金銭態度など)、経済事象に関する知識の有無などのデータを集めることができた。 調査の実施時期が、COVID-19の感染拡大の初期段階にあたり、調査時点ではほとんどの小中学校が休校状態になっていたが、休校措置がとられてから数日しか経っていない時期であったため、休校措置や外出制約などの影響は小さいと判断している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度については、当初、予定していなかった小学6年生に対する紙ベースでの調査を小学校3校の協力を得ることができたため、プリテストの実施が可能となった。プリテストは本調査の子ども票に当たる部分のみであったが、1回目の調査(1校)と2回目の調査(2校)の間で前者の結果を受けて後者の調査票で修正を施すことが可能になったため、当初の計画よりも幾つかの点でより有効性の高い質問文を本調査で使用することができた。 他方、当初の計画では本調査を秋から初冬にかけての時期に実施する予定であったが、プリテストの実施時期が2019年7~10月になったため、本調査であるWeb調査の実査時期が予定よりも遅れることになった。また2020年2月後半以降、COVID-19の感染拡大に伴う対応に追われたこともあり、研究の進捗ペースが遅くなった。しかし、プリテストの結果を本調査で利用した調査票の大きな改善に繋げることができたこと、実査時期が2020年3月になったとはいえ、年度内にWeb調査の実査が完了し、データを入手できたことから、研究は当初計画から大きく遅れることなく進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は本研究計画の最終年度にあたり、調査によって得られたデータの整理・分析とそれに基づく学会報告、論文発表などが主たる内容となる。 当面の分析課題は以下の通りである。(1)母親の金融しつけ意識や金融しつけ行動の階層性、(2)子どもの金融ケイパビリティの階層性やその決定要因の探索、(3)母子間の金銭態度の相関、(4)子どもの金融ケイパビリティ形成に関するジェンダー分析。 今回の調査においては、比較的大きなサンプル数でデータが得られており、インターネット調査の特性から追跡調査を実施してパネルデータを作成することが可能である。予算の制約はあるが、パネルデータ化の可能性も探っていくことになる。
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Causes of Carryover |
2020年2月よりCOVID-19の感染拡大に伴い、この時期に予定していた訪問調査を断念したため、旅費の執行額が予定よりも大きく減額したことが最も大きな理由である。訪問調査が不可能であると判断した時点で、旅費の一部を2020年3月に実施したWeb調査に対する予算に振り向けて増額し、サンプル数の拡大を図った。 結果として2020年度への繰越額は、2020年度予算の1割以下になっているため、2020年度の研究計画に与える影響は少なく、当初計画通りに研究を進める予定である。
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