2018 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Study on Creating Curriculum of Kindergartens and Day Nurseries in the Early Postwar Period
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18K02504
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Research Institution | Nagoya University of Arts |
Principal Investigator |
豊田 和子 名古屋芸術大学, 人間発達学部, 教授 (80087915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清原 みさ子 名古屋芸術大学, 人間発達学部, 研究員 (00090366)
寺部 直子 名古屋芸術大学, 人間発達学部, 研究員 (20759592)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 昭和20年代の幼稚園・保育所 / 保育カリキュラム / 保育内容と方法の実際 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の目標は、昭和20年代前半までに存在した調査対象園(施設)の確定と約1000か所へのアンケート調査依頼状の発送であった。 ①児童福祉関連の国の統計資料や都道府県教育委員会等の幼稚園名簿資料を手掛かりに、全国の幼稚園と保育所の名称と住所を調べて、本研究の調査対象を確定する作業に取り組み、920か所を確定した。 ②北海道・東北・九州・中国・四国・関西・東海地区から確定できた920園(施設)に対して、「昭和20年代の保育カリキュラムに関する諸資料の有無」を書面で尋ね、ハガキによる回答を求めた。その結果、22園(施設)から「関連資料がある」との回答を得た。「無」との回答は、園舎の建替えや保存期間切れなどの理由によるもので、戦後70年余を経過した現在では、現存の資料は極めて貴重であることが改めて分かった。 ③次に、資料があるという園(施設)に対して電話で訪問調査の可否を伺い、了解を得たところから、順に訪問して資料収集(デジカメ収録等)を行った。3月までに実際に訪問出来た園(施設)は、11園(施設)であった。行けなかったところは、園の行事等により園長との日程調整が出来なかったり、電話で話してみて資料が不十分などの理由による。訪問を次年度に回す予定の園もある。実際に訪問調査をして資料を見せてもらうと、保育カリキュラムそのものがある園は少なく、保育日誌や園だよりなどであることがわかった。 ④研究会を月1回の割合で定例的に開催し、上記の作業進行と並行して、保育カリキュラム関連の勉強会を行い、成果の学会発表等を検討してきた。専門学会で「昭和20年代の保育カリキュラムづくりの関する実証的研究(1)」と題して研究発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年で予定していた調査対象の確定作業とアンケートの郵送作業は、アルバイト等の活用により順調にはかどっている。残りの地区(関東及び東海の一部)に関して、調査対象園(施設)約400は既に確定しており、この5月中にアンケートを郵送できるところまで、作業が進んでいる。 ①これまでのところでは、幼稚園の方が当時のカリキュラム関連資料が残っているが、保育所の方がそれに比べて少ないことがわかってきたので、今後、それをどう補うかという課題がある。 ②公立幼稚園と私立幼稚園とが合同でカリキュラムづくりに取り組んだことがわかってきた名古屋市のようなケースもある。これに関しては研究会を重ねて、成果を2019年度に専門学会で発表し、公評を仰ぐ。 ③前年度に訪問できなかった園(施設)について、本年度の前半期で訪問を出来るようにすることが課題としてある。電話連絡をして、順次訪問調査を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
年度の前半までにアンケート郵送を終え、後半期は収集できた諸資料のデータ化と分析・検討に取り組むことが本年度の目標である。 ①調査対象の園(施設)に関しては、ほぼ確定作業が終了しているので、郵送作業を年度の前半期で行う。特に、関東(東京)には戦前からの古い園(施設)も多いことがわかったので、今後「有」との回答が得られることを期待し、順次訪問調査を開始して、原資料収集に努める。 ②年度の後半期には、それまでに収集できた諸資料をデータ化し、分析する作業や当時の全国的なカリキュラム作成の動向を検討する。そのために、月1回程度の定例研究会を継続していく。 ③得られた成果を公表するため、2020年度の日本教育学会発表に向けての準備を行う。 その際、園(施設)から得た資料の使用については、個人情報保護遵守の立場から園(施設)に了承を得る。 ④2019年度に学会発表した内容を、本学研究紀要に論文としてまとめて掲載し公表する。
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Causes of Carryover |
①旅費が余ったのは以下の理由による。 資料収集のための訪問調査に、2人一組での予算計上をしていたが、実際には、日程調整等の事情から1名で訪問したことと、北海道、東北地方等の遠方の訪問調査を予定していたが、実際には「資料なし」という回答であったため、遠方の訪問調査を行えなかった。 ②人件費の余剰については、調査対象園(施設)の確定作業のアルバイトを依頼したが要領よく仕事がはかどったことと、研究者たちも確定作業や郵送作業を行ったのでアルバイト代が節約できた。 今後の使用計画については、1)前年度訪問調査できなかった園(施設)と今年度調査対象の園(施設)を合わせると、相当の数の園訪問が予定されるので、旅費を計画的に使用する。2)戦後の教育・保育研究の情報を得るために、教育学・保育学関連の学会並びに研究会に出席するために旅費を当てる。3)アルバイト依頼については、これまでに収集したデータ処理の作業が増えるのでそれに当てる。減額分は関連図書費等の購入に転用して、研究を深めることに使用する。
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