2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K02522
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鬼藤 明仁 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (50586964)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 技術科教育 / 生徒の同調 / ソーシャルスキル / 中学校技術科 |
Outline of Annual Research Achievements |
生徒がものをつくる活動に取り組む際には、小学校段階までの経験を基盤にしていると考えられる。しかし実際には、授業内容は各学校の裁量に任されている部分もあるので、ものをつくった経験が少ないまま年齢を重ねる生徒も相当数存在するといえる。このような生徒は、中学校段階のものをつくる活動に対して、どのように取り組んでいるのだろうか。 本研究は、生徒の同調に着目した。同調とは「個人の判断や行動が、所属する集団の判断もしくは行動の影響を受けて、集団の規準や平均的なものに一致する方向に従って行われること」と定義されている。 今年度は、中学校段階の「ものづくり」が必修内容である技術科に関して、生徒の同調のソーシャルスキル4因子(他者理解スキル、非表出スキル、メタ認知スキル、自己統制スキル)の使用状況を分析することとした。また、それらに3要素(学級風土、授業雰囲気、不安)がどのように影響しているのか検討することにした。 中学生計1806名の質問紙調査データについて決定木分析を行った。その結果、「他者理解スキル」の使用の要因として、「メタ認知スキル」の使用が最も高い判別力を示した。「メタ認知スキル」を使用していない場合、自らの真意や主張を示そうとしないという「非表出スキル」及び、懸命に取り組み克服することで成長に結び付く性質の不安である「成長不安」が、「他者理解スキル」の使用に影響を示した。 「非表出スキル」は、「メタ認知スキル」とは相補関係にあると考えられた。関連して「成長不安」の影響があったことから、教師は「非表出スキル」を使用する生徒に対して、懸命に取り組み克服することで成長に結び付く性質の不安を、適切に学習場面に組み込むことが効果的と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概念駆動型処理の学習と生徒の動機づけとの関連性について、生徒の同調に着目し、中学校技術科に関して、生徒の同調のソーシャルスキル4因子(他者理解スキル、非表出スキル、メタ認知スキル、自己統制スキル)の使用状況を分析した。中学生計1806名の質問紙調査データについての決定木分析では、「他者理解スキル」の使用の要因として、「メタ認知スキル」の使用が最も高い判別力を示した。また、「メタ認知スキル」を使用していない場合、自らの真意や主張を示そうとしないという「非表出スキル」及び、懸命に取り組み克服することで成長に結び付く性質の不安である「成長不安」が、「他者理解スキル」の使用に影響を示した。これらの結果を基に因果モデルを構築し、次年度、授業実践にて検証する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
概念駆動型処理の学習理論に基づく技術科の授業計画を立案し、授業実践による検証を通して、学習指導方法を確立する。授業計画の立案では、概念駆動型処理の学習が、文脈的知識や予見に基づく学習対象の認識による学習であることから、スクリプト理論を採用する。スクリプト理論では、知識は台本のように、登場人物が目標に対し道具を用いて行動する事柄を時系列的に整理したものとして取り扱われる。 授業実践による検証及び学習指導方法の確立のために、立案した授業計画の下、横浜国立大学教育人間科学部附属鎌倉中学校及び、神奈川県下公立中学校で授業実践を行う。生徒のワークシートの分析、調査校の技術科教員との協議を通して、概念駆動型処理を核とした技術科の学習指導方法を考究する。
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Causes of Carryover |
調査データ保管用ハードディスクの購入が今年度中に間に合わなかったため。次年度購入し、PC内のデータを移す予定。
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