2020 Fiscal Year Research-status Report
北方圏の風土を生かした資質・能力育成の基盤研究:北欧との造形教育交流と比較から
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18K02543
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Research Institution | Akita University of Art |
Principal Investigator |
尾澤 勇 秋田公立美術大学, 美術学部, 教授 (60712940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 昌彦 福島学院大学短期大学部, その他部局等, 教授 (00281858)
有馬 寛子 秋田公立美術大学, 美術学部, 助手 (00758766) [Withdrawn]
藤野 敦 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (10741944)
山内 貴博 京都美術工芸大学, 工芸学部, 教授 (50713187)
阿部 誠 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (70414357)
東良 雅人 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (70619840)
加納 隆徳 秋田大学, 教育文化学部, 講師 (90767245)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 資質・能力の比較のための質問紙による調査 / 交流展実施を通した交流による文化理解の伸張 / 地域の共通性と相違性の視点で文化を捉える |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の基礎である美術教育交流展の深化を図った。北方圏の美術、工芸教育の交流実践について校種を広げ、研究協力者の教師が学齢に応じた両国の児童・生徒を、主体的で共同的な深い学びに導く工夫について実践を積み重ねることを行った。 令和元年度では、一般的共通性として「北方圏に共通して見られる文化を学ぶこと」、もう一つは地域的特殊性として「北日本とフィンランドに見られる差異を通じて、自己の地域を見つめ直すこと」を視点として、「ふるさとへのまなざし―くらし、自然、文化、祭り―」を共通テーマとして、両国のモチーフの相互交流制作を行い、フィンランド共和国ヘルシンキ市にあるアンナンタロにて交流展を実施した。フィンランドの生徒が秋田の教員及び作品と触れることで国際交流を図った。交流展では、フィンランドの生徒から、秋田と交流し、自国のふるさとの文化への興味関心が増したかについてインタビューを行った。作品及びインタビューからフィンランドの交流校及び、小、中、高校、高等職業専門学校に気候、風土、地勢、自然環境等に対する意識調査の依頼を行った。アンケートの一部を回収した。日本の生徒の感想や、フィンランドでの交流展参加生徒へのインタビューにおいても、「相手国に対する文化理解が深まった」「自分のふるさとに関する深い見方ができるようになった」との回答を多く得ることができた。開催した国の生徒だけではなく、開催していない国の生徒も交流を通した制作を行ったことにより、生徒自身が一般的共通性と地域的特殊性を感じ取り、美術を通した文化交流の成果を自身のものとしていることが分かった。令和3年1月の交流展も新型コロナ禍の中、リモートによるギャラリートークの実施などにより生徒意識の向上を図った。今後、アンケート結果を精査し、他教科の見方・考え方も含め一般的共通性と地域的特殊性についての意識を分析し研究の進化をはかりたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
理由 『秋田&フィンランドの「視覚美術・工芸」教育交流展の実践研究報告(3) ―地域の共通性と相違性の視点でふるさとの文化を捉える―』の題名で、令和元年までの実践研究内容はを論文にまとめ、令和2年3月発行の日本美術教育論No.53 2020にて、分担研究者の有馬寛子と共に実践研究成果を日本全国に周知した。 令和元年12月のフィンランド訪問時に小、中、高校、職業学校に気候、風土、地勢、自然環境等に対する意識調査の依頼を行い、アンケートを回収した。日本でも同一質問紙において小学校、中学校で調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス流行のため、小学校、中学校の休校と、その後の混乱の中で、調査依頼を行えない状況にあり、現時点で、フィンランド側と日本のアンケート調査の比較を行うことができていない。アンケート回収の見込みが新型コロナウイルスの流行の状況しだいで、予断を許さない状況である。フィンランド側及び、日本の学校のアンケート調査の結果、及び、分担研究者のそれぞれの分野での分析をまとめ上げ、実践研究ににまとめる必要があるが、困難な状況であった。令和3年度に可能なかぎり実施し分析することで、研究成果がまとまることができれば、令和3年度の終末までに研究成果発表会も行う計画であり、交流展の実践研究を通して北方圏ならではの資質・能力について輪郭を浮かび上がらせ、その資質・能力伸張について教育的意義を明らかにしていきたいと考えている。 新型コロナ禍の中でも、令和2年度は、令和3年1月に秋田市新屋ガラス工房ギャラリーにてフィンランド共和国、エスポー市立高等学校、オムニア職業学校と秋田公立美術大学附属高等学院の交流展開催を行った。リモートでフィンランドと繋ぎ、ギャラリートークを行い生徒の意識変化を促した。 交流展及び科研費研究においても、新型コロナウイルスの流行如何によって未確定要素が多い状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの流行に伴って、日本側、フィンランド側共に、現在、学校の状況が厳しく、未回収のアンケート調査実施が難しい状況にある。現在までの実践研究成果を最大限分析し活用しながら本研究のまとめを行って行きたい。今までの交流展開催を通した、同じ北方圏という、一般的共通性とそれぞれの国、地域の地域的特殊性を感じることのできる造形体験を主体とした交流実践を経た両国生徒の変容などについては、まとめを行うことはできる。研究当初、30年前のフィンランドと秋田の児童、生徒に実施した気候、風土、地勢、自然環境等に対する意識調査の現在との比較分析を行うことについては、調査対象データが不十分になる可能性がある。しかし現在の両国高校生に関する比較に関してはデータ回収済みのため、分析を行って行きたい。交流制作を通した、一般的共通性と地域的特殊性の意識変容についても分析することができる。令和2年度の秋田で開催したフィンランドとの交流展の取り組みの中でも交流を通した作品制作を通した意識の醸成について調査を継続し、令和元年度の実践成果に厚みと深みを持たせたい。 分担研究者の各分野の日本(秋田)とフィンランド(首都圏)の比較研究の集約をはかり、造形的な視点のみならず、社会的、生態的、景観的などの視点で北方圏ならではの資質・能力について輪郭を浮かび上がらせ、その資質・能力伸張について教育的意義を明らかにしていきたいと考えている。 できることなら、研究成果発表会を開催したいと考えているが、複数の人間の密集する発表会が難しい場合は、実践研究成果のまとめを作成し研究の成果としたい。 いずれにしても新型コロナウイルスの流行、収束状況に左右されるものの、現在までに実践研究成果及びデータ分析、分担研究者の研究成果の集約等を活用し、研究のまとめに持って行きたいと考えている。
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Causes of Carryover |
前年度は新型コロナウイルス蔓延のため、成果発表会が実施出来なかったため、今年度に繰り越すことになったため。
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Research Products
(3 results)
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[Book] 民具・民芸からデザインの未来まで 教育の視点から2020
Author(s)
碇 勝貴,石山 正夫,伊藤 文彦,尾澤 勇,カイ・エドモンド,笠原 広一,近藤 康太,齊藤 暁子,佐藤 昌彦,徐 英杰,鈴木 美樹,張 月松,東條 吉峰,直江 俊雄,畑山 未央,前村 晃,宮崎 藤吉,宮脇 理,山木 朝彦,山口 喜雄,山田 一美,吉田 奈穂子,劉 叡琳,渡辺 邦夫,渡邊 晃一,和田 学
Total Pages
382
Publisher
学術研究出版