2018 Fiscal Year Research-status Report
対話的手法を通したホリスティックな教師教育プログラムの開発と検証
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18K02567
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
河野 桃子 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 講師 (10710098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 華子 天理大学, 人間学部, 准教授 (20610174)
孫 美幸 大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (40755493)
曽我 幸代 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (40758041)
大山 博幸 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (80383339)
青木 芳恵 帝京大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80708040)
木戸 啓絵 岐阜聖徳学園大学短期大学部, その他部局等, 講師 (90746439)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ホリスティック / 対話 / 教師教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、対話的な手法が教師の主体的な学びへの助けになるとの仮説に基づき、最終的に、対話的な手法に基づくホリスティック(全体的)な教師教育プログラムの開発を目指して共同研究を行っている。本年度は、この目的に向けて、大きく分けて3つの方向から研究を進めた。 (1)「対話」についての基礎的研究:研究分担者・研究協力者が、それぞれの研究分野の視点を活かし、「看護領域の実践者養成における「対話」」「福祉領域の実践者養成における「対話」」「教育領域の教師教育における「対話」」に関する文献レビューを行った。今後、これらのレビューを比較しながら検討することで、現在、教師教育に関して使用されている「対話」概念の特徴を明らかにし、そこに補うべき観点を明確化する予定である。 (2)関連する概念についての基礎的研究:研究分担者・研究協力者が、それぞれの研究分野の視点を活かし、「対話」に関連すると考えられる諸概念(例えば、多文化共生、他者理解、教育/ケア、ESD、傾聴、等)や、各インタビューのテーマに関連する諸概念(例えば、食育、多様な学び、聖なるもの、等)に関する考察を行い、論文・学会発表・書籍等の形でその成果を公表した。 (3)対話的手法に基づくインタビューの実施:研究期間全体を通して予定されていた3件のインタビューのうち、2件を実施した。今後、これらの記録のなかから複数の場面を取り出し、他者との「対話」を通じた自己物語の「語り直し」はどのように生じるのか、また、そのような「語り直し」を引き出すのに相応しい問いとはどのようなものかについて検討を行う。そこで明らかになった条件を、今後、教師教育プログラムの開発に結びつける予定である。また、同時並行的に、対話的手法の1つであるアクティブ・インタビューについても分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、「対話」に関する看護・福祉・教育の領域での文献レビューと、関連概念についての基礎的研究を終え、その成果の一部を公表した。未発表の成果については、令和元年度中に随時公表する予定である。 また、対話的手法に基づく2件のインタビューを終え、現在は、そのデータから自己物語(ここではとくに、自己の教育実践についての物語)の「語り直し」が引き起こされていると考えられる場面の抽出作業を行っている。 対話的手法については、そのなかの1つであるアクティブ・インタビューに注目し、その分析・検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、令和元年度中に、予定されていたもう1件のインタビュー調査を行う。その後、3つのインタビュー調査の結果を分析・公表するなかで、教師が、(1)自身の現在の教育観を言語化するのを助ける問いと、(2)ある実践を抽象化された言葉で説明し直すことで、自身の教育観を違う角度から意味づけ直す問いとの、2つのタイプの問いの条件を明らかにする。令和2年度には、条件を満たす問いを掲載したワークシート案を作成し、一部の研究分担者・研究協力者の勤務校にてそれを利用した対話的実践を試みる。そこでのフィードバックをもとに、ワークシートを改良し、最終的な教師教育プログラムの開発につなげる。 また、3つのインタビュー調査のデータとそれに関する分析をまとめ、令和2年度に著作として刊行する。
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Causes of Carryover |
平成30年度に参加を予定していた国際学会が開催されなかったため、その参加を延期することとした。このため交通費に残額が出ることとなった。次年度使用額は平成31年度使用額とあわせて、同学会への参加にかかる交通費として使用する予定である。
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