2018 Fiscal Year Research-status Report
課題解決能力育成のための資質・能力ベースの家庭科カリキュラムと評価メソッドの開発
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18K02629
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
岡 陽子 佐賀大学, 学校教育学研究科, 教授 (60390580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 明子 広島大学, 教育学研究科, 教授 (90220582)
萱島 知子 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (90452599)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 課題解決能力 / 問題解決的な学習 / カリキュラム / 評価メソッド / 家庭科 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生活の課題解決リテラシーを定着させる教育的課題の一環として、新学習指導要領による授業を牽引する資質・能力ベースの小学校家庭科のモデルカリキュラムと評価メソッドを開発することが目的である。2018年度の研究の成果は、次の通りである。 (1) 「課題解決能力を育む家庭科の資質・能力ベースの理論的研究」として、戦後の学習指導要領と指導要録の関連について歴史的検証を行い、課題解決能力を育む学習方略に言及した本研究の意義と歴史的課題を明確にした。 (2) 佐賀県と広島市の小学校教育研究会家庭部会の協力を得て両地区の全小学校の家庭科担当教員に質問紙調査を実施し、本研究に係る指導上の課題を分析した。その結果、生活の課題解決能力育成に有効とされてきた問題解決的な学習を導入していると回答した教員の割合が6割前後と低く課題であること、また、調理及び製作の学習においては調理や製作そのものが目的化している実態があり課題であること等が明らかとなった。 (3) 学習者主体の総合的な「問い」からスタートする問題解決的なモデルカリキュラム(衣生活及び食生活の内容)を開発し、附属小学校の協力を得て試行した。分析と効果の検証は次年度に実施する。 (4) 資質・能力で捉える簡便な資質・能力ポートフォリオ(衣・食生活の内容)を開発し、附属小学校と協力校で試行した。実施上の課題を洗い出し、次年度用として、衣生活と食生活の資質・能力ポートフォリオを見直した。 ・これまでの成果をもとに、課題解決能力を育む学校現場の実態と課題について日本家庭科教育学会2018年例会と2019年大会にて学会発表を行った。また、資質・能力ポートフォリオの開発と有効性の検証に係る論文を佐賀大学大学院学校教育学研究科研究紀要第2巻に投稿・掲載、学習指導要領と指導要録の歴史的検証の結果に係る論文を同研究紀要第3巻に投稿・掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は佐賀県と広島市で課題解決能力に係る質問紙調査を実施し、その分析結果から学校現場の指導上の課題を明らかにすることができた。また、学習指導要領と指導要録の関連について戦後の歴史的検証を行い、問題解決的な学習に係る歴史的課題を明確にした。開発したモデルカリキュラムと資質・能力ポートフォリオの授業実践を通しての検証は現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
新学習指導要領による授業を牽引する資質・能力ベースの小学校家庭科のモデルカリキュラムと評価メソッドを開発するために、2019年度は、考案した問題解決的なモデルカリキュラムと資質・能力ポートフォリオを用いた授業実践とその検証を行う。 (1) 附属小学校での継続研究とともに、佐賀県小学校教育研究会家庭部会の協力を得て新たな協力校を加え、前年度の課題を踏まえ改良を加えたモデルカリキュラムと資質・能力ポートフォリオを用いて衣生活と食生活の授業で活用し、効果を検証する。 (2) 学習者の意識を知るための調査票を作成し、附属小学校において研究授業実施後に調査を行う。結果を分析し、意識化の過程を明らかにする。 ・(1)(2)の分析・考察については、衣食の専門及び教科教育の立場から関係者(研究代表者、研究分担者)で行う。
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Causes of Carryover |
2018年度は研究協力者の数を絞り込んだため人件費・謝金が予定より少額となったことが主な理由である。当該助成金については、2019年度の人件費・謝金に加算して使用する他、最終年度の研究成果刊行費の予算額を押さえているため、その費用の一部として2020年度に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)