小学校における学級集団の状態に適合した授業モデルの開発

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K02665
• Research Institution: Nara University of Education
• Principal Investigator: 粕谷 貴志 奈良教育大学, 教職開発講座, 教授 (10405079)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 学級集団 / 授業構成 / 指導行動

Outline of Annual Research Achievements

前年度に引き続き、集団状態の把握と授業構成および指導行動の観察・記録、整理を行った。今年度は、これまでに整理した集団の状態に応じた指導行動に基づいて、授業者と授業づくりと集団育成についての協議を行った。
これまでのところ、適切な授業構成および指導行動は、集団に所属する児童の心理面・社会面・身体面の発達の実態による集団状態に応じて選ばれることと、集団状態に応じた適切な授業構成および指導行動の選択が集団の規律や関係性の育成と関連していることが明らかになっている。また、授業者への集団育成についての聴き取りから、年度当初より目標とする集団状態を想定して、そこにむけた規律と関係性の育成のために繰り返し行う指導行動があることが見いだされている。
これらの授業構成と指導行動について理解し、より効果的な実践方法を検討するために、教育学、教育心理学、カウンセリング心理学、臨床心理学等の研究の知見と照合しながら考察を進めた。授業者との協議において、集団状態に応じた授業構成および指導行動の背景となる理論や研究の知見に基づいた実践方法について理解を共有することは、適切な授業構成、指導行動を強化することが示唆されている。現在、記録されたビデオ映像を用いた効果的な協議の方法について検討を進めているところである。
これらの成果の一部は、研究協力者と共有するとともに研究協力校における校内研修、県、市町村教育委員会等の教員研修の場で公表した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で研究対象が限られたため、授業者へのコンサルテーションによる効果の検証や授業モデルの妥当性の検討は十分できていない。

Strategy for Future Research Activity

継続して学級集団の把握と授業構成および指導行動についての資料を収集し整理をすすめるとともに、研究協力を得られている授業者へのコンサルテーションを行い仮説モデルの妥当性の検証を進める計画である。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で研究の遂行が遅れており、出張旅費、物品購入等の支出が少なかったために次年度使用額が生じています。研究協力校への訪問、成果発表のための学会出張等の旅費および研究遂行に必要な物品の購入費として使用する計画です。