2020 Fiscal Year Research-status Report
戦後期小学校音楽の存在理由に関する歴史的研究―国民学校期との連続性に着目して―
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18K02666
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
藤井 康之 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (40436449)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 国民学校期~戦後期の連続性 / 小学校音楽の理論と実践の歴史的解明 / 自律的な音楽 / 井上武士 / 小出浩平 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はコロナ禍にあったため、井上武士、小出浩平に関する著書・論文や、国民学校期から戦後期にかけて発行された音楽教育に関する著書・論文の史料調査・収集がほとんどできなかった。したがって、2020年度以前に調査・収集した史料を整理したり、読み込むなどの作業を中心に行った。また、国民学校期および戦後期の学校音楽を扱った音楽教育史研究、音楽教育の目的や存在理由に言及した先行研究を読み、論文を作成するための基礎的な準備に専念した。 2020年度の予定として、以下の2つを考えていたが、史料調査が思うようにできなかったため、断念した。 ①井上武士については、2019年度に韓国音楽教育学会(KMES)で発表した内容を論文にして、学会誌に投稿する予定であったが、論文を作成するにあたり、史料がまだ十分ではなかったため、投稿を見送った。現在、史料収集ができなくても論文が作成できるように、韓国音楽教育学会で発表した内容とは違った視点から、論文を練り直している。具体的には、国民学校期から戦後期にかけて、井上が国家に寄与するための人格形成としての音楽教育思想と実践を一貫して提唱し続けていたことと、日本の教育も「人づくり」「国づくり」のための手段として歴史的に位置づけられ続けてきたことを重ね合わせ、21世紀の今、学校で子どもたちが音楽をする意味とはなんなのか、学校音楽はどのようなあり方をめざしていけるのか、本質的な問いに切り込めるような内容に修正中である。 ②小出浩平についても井上と同じく、2019年度に日本教育方法学会で発表した内容を学会誌に投稿する予定であったが、さらに史料を加える必要があると判断したため、投稿を延期した。小出の論文は、新たに収集した史料を加えつつ論文を充実させて、今年度に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの感染拡大による影響のため、史料調査が行えなかった。したがって、新たな論文・発表をするための準備として、これまで収集した史料、本研究に関連する音楽教育関係の文献を読むことに専念したため、進捗状況が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、コロナの感染拡大の状況を見ながら、可能な限り、図書館での史料調査を行う予定でいる。その成果を基に、学会誌や紀要への投稿、学会での発表につなげていきたいと考えている。 図書館での史料調査が行えない場合は、これまでに収集した史料、ネットからアクセスできる図書館の史料等を使用しながら、論文作成や学会発表を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は、コロナの感染拡大の影響で、図書館での調査がほとんど行えなかったため、旅費やコピー代等の支出がなかった。2021年度は、引き続き音楽教育関係の著書・論文等の調査・収集のための費用と、研究を円滑に遂行するための環境整備(機材購入)のための費用に使用することにしたい。
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