2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Actual Conditions of Policies and Procedures of Conflicts of Interest Management, and their Applications at Japanese Universities
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18K02695
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新谷 由紀子 筑波大学, 利益相反・輸出管理マネジメント室, 准教授 (40333281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊本 虔 筑波大学, 利益相反・輸出管理マネジメント室, 名誉教授 (50284229)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 利益相反 / 大学 / マネジメント / 意識調査 / 体制 / リスク / 医学系 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学における利益相反問題は産学連携活動において最も生じやすい。2018年度は企業と共同研究を実施した実績のある国公私立大学345大学(4年制大学及び大学院大学)の研究担当副学長を対象として、利益相反マネジメントの体制と運用に関するアンケート調査を実施した。2019年度は、利益相反マネジメントにおいて制約を受ける可能性のある教員の立場から見た場合の、日本の大学における利益相反マネジメントの実態と課題を明らかにするため、民間企業との共同研究件数が上位50大学の国公私立大学において教員1,000人を無作為抽出し、教員の利益相反に対する意識等に関するアンケート調査を実施した(調査実施日:2019年6月3日、締切日:2019年7月16日)。この結果、産学連携活動が活発に行われている大学では教員の利益相反に対する知識は一定程度普及しており、このため、研究活動に関するバイアスや成果発表の制約など、かなり高い割合で利益相反上の懸念が示された。一方で、利益相反の管理側の対応が不十分であることが示唆される結果となった。 また、近年、臨床研究の分野では、産学連携活動において高血圧症治療薬にかかる臨床研究データの人為的操作が行われた事件を受けて、臨床研究法(平成29年法律第16号)の成立やこれに伴う厚労省の「臨床研究法における利益相反管理ガイダンス」の周知が図られたが、臨床研究以外の産学連携活動等における利益相反マネジメントについては、産学連携活動の著しい活発化に比して対応の遅れが懸念された。このため、2019年度の調査結果において医学系と医学系以外の教員の回答について比較分析を行い、提言のとりまとめに取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2018年度に実施した大学における利益相反マネジメントの体制と運用に関するアンケートの調査について分析を進めて論文にまとめ、2019年4月に学会誌に査読論文として掲載された。さらに、2019年6月には学会での発表も行った。 2019年度の教員1,000人に対するアンケート調査の結果についは、2019年9月に報告書「大学における利益相反マネジメントに関する教員の意識調査」にまとめて135部印刷し、関係各所に配付するとともに教員所属組織のウェブサイトやつくばリポジトリで公開し、普及に努めた。また、当該調査のデータを医学系と医学系以外の教員の回答について比較分析を行い、各分野における問題点等を検討した。 当初計画では、2018年度のアンケート調査の報告書作成までであったが、それを2018年度中に実施し、2019年度は教員1,000人に対するアンケート調査の準備と実施のほか、2020年度の実施を予定していた当該調査の結果報告書の作成及び配付まで実施することができた。速やかに研究が進行し、研究計画は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2019年度に実施した教員1,000名を対象にした利益相反マネジメントに関する意識調査の結果を分析・検討し、日本の大学における利益相反マネジメントの体制整備及び運用の状況、それらに関する課題、並びに具体的な改善方策についての提言を取りまとめて発表し、普及に努める。また、2018年度に実施した調査の成果と合わせて、新たな課題を抽出し、対策の検討を行う。
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Research Products
(6 results)