2019 Fiscal Year Research-status Report
外国人留学生と地域住民の交流の実態と大学・地域特性に関する調査研究
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18K02722
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岸田 由美 金沢大学, フロンティア工学系, 准教授 (80334754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
S Kampeeraparb 名古屋大学, 国際開発研究科, 講師 (90362219)
藤生 慎 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (90708124)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 留学生 / 生活行動 / 都市環境 / 地域との交流 / アンケート調査 / 国立大学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に金沢大学と名古屋大学の留学生を対象に実施した質的調査で収集したデータの分析を進めた。その結果,次の点が明らかになった。調査協力者の80%は学外で日本人とのつきあいがあると回答した。主な接触経路としては,①アルバイト,②子ども(学校園など),③国際交流プログラムやイベント,④ホームステイ,⑤近所づきあい,⑥宗教施設,が確認された。地域で過ごす時間の多寡に関しては,文系の学生は地域でより多くの時間を過ごし(キャンパス25%,地域31%),理系の学生はより多くの時間をキャンパスで過ごす(キャンパス38%,地域19%)傾向が見られた。都市の規模や環境の違いによる生活スタイルや機会の差異も確認された。学外の生活圏については,名古屋では行動範囲が広く分散しているのに対し,金沢では多くの回答者が狭い範囲の重複するエリアで過ごしていることがわかった。アルバイトについて,名古屋の回答者は専門性や給与の高い職種に就く機会により恵まれていた。一方,近所づきあいや子ども関係の付き合いをあげる者は,金沢の回答者に多かった。これらの結果については国際学会で発表した(WERA2019東京大会)。 これまでに得られた知見に基づいて調査項目を検討し,2019年12月~2020年2月にオンラインアンケート調査(英日)を実施した。国立大学留学生指導研究協議会のネットワークを活用して協力大学を募集し,協力者から各大学の留学生に回答を呼びかけてもらった。その他に,留学生会の連絡先が確認できた大学には発表者から留学生会に直接メール等で協力を依頼した。これにより,北海道・東北地区2校,関東地区5校,中部地区3校,近畿地区2校,中国・四国地区2校,九州地区2校,計16の大学の留学生を中心に,全体として24大学662人から有効回答を得た。2020年度にこの調査結果について分析を進め,研究成果発表を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質的調査の結果を反映して調査項目を検討した上で,計画通り全国調査を実施し,量的に十分なデータを収集することができた。質的調査結果について,国際学会(WERA2019東京大会)で発表し,諸外国の研究者らと意見交換することを通して,国際的な文脈で研究課題を評価することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
全国調査結果について,留学生たちが日本人とどのようなつながりを得ているか,日本留学でどのような経験をし,日本社会への愛着をどのように形成しているのか,個人属性や生活環境等による違いが見られるか,分析を進める。 学会や論文での研究成果発表も行う。2020年度は留学生関係の国際会議での成果発表を主要な課題に設定していたが,新型コロナウイルス感染症の影響で予定していた会議が中止や延期になっているため,効果的な発信のために,成果発表計画の見直しも行う。 地域社会を視野に入れた留学生交流プログラムや支援の一助となるよう,研究成果を報告書にまとめて発信する。調査協力大学には,当該大学のみの集計結果も個別に提供する。
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Research Products
(1 results)