2018 Fiscal Year Research-status Report
通常の学級に在籍する児童への作業療法士のコンサルテーション・モデルの実証的研究
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18K02766
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
倉澤 茂樹 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (40517025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹葉 寛之 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (30531652)
大歳 太郎 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (40336483)
立山 清美 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 講師 (70290385)
中岡 和代 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 助教 (90708017)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 作業療法士 / 就学支援 / 小学校 / コンサルテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪府と和歌山県下の小学校の協力を経て、作業療法士(以下、OT)による学校コンサルテーションを実施している。通常学級にて学習や行動面に困難さのある児童を対象としている。その一部について、事例報告として学会で発表し、学術誌にも投稿予定である。以下、事例報告。(1)一般情報:年齢8歳1ヶ月(初回、評価時)、男児、学習障害。母親の主訴「読み書きが苦手で困っている。集中出来ないことも気になる。」、担当教諭の主訴「書くこと読むことが苦手なため国語以外の教科についても意欲の低下がみられる。」(2)検査尺度からの情報:感覚プロファイル(微細運動・知覚領域で高い;2~16%)、子どもの行動チェックリスト(教師用;全項目で正常域、保護者用;外交尺度で境界域)(3)OT評価:左利きだが、右手の出動が多い。正中線交叉を避ける傾向があり、左右の識別も困難。筋緊張はやや低く、姿勢が崩れやすい。爪や鉛筆を噛む、椅子の背もたれや脚に手足を巻き付けるなどの求感覚行動がみられる。書字では逆さ文字に加え、筆圧が常に高い。消しゴムでうまく消せず、プリントを破る。板書は苦手で、音読は文字を目で追わず傍観している。2次障害と思われる情緒反応も生じている。OTによる学校コンサルテーションの内容として、担当教諭および母親に対して、フローチャートを用い、本児の症状およびその背景(要因や誘因)を説明した。次に、具体的な対処方法(教授方法の工夫、指示の明確化、動作時の姿勢、環境設定、ペアレントトレーニングなど)を提案した。その後、3ヶ月で3回、学校を訪問し、必要に応じて個別支援計画の見直した。結果、文字の読み書きに関して学習成果が得られた。しかしながら、落ち着きのなさ等の行動面での変化は認められなかった。行動を変容するためには更なる支援の工夫あるいは継続が必要と示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2か所の小学校の協力を得ることができており、3名の児童の学校コンサルテーションを実施している。そのうち、1例についてはコンサルテーションを終了している。今後も参加協力を募集していく。当初の予定よりも事例は少ないが、本研究に関する問い合わせは増えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き地方自治体の教育委員会に呼びかけ研究協力を要請していく。現在の研究フィールドは大阪府と和歌山県下の2校であるが、奈良県の教育委員会や作業療法士会にも働きかけていく。なお、学校コンサルテーションが終了した事例に関しては随時、成果発表していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも学校コンサルテーションの参加協力者が少なく、次年度も引き続きリクルートしていくこととした。合わせて、研究への参加要請に必要な物品(配布物、PC機器)や旅費(学会や研修会も含む)も追加的に購入する予定である。また、学校コンサルテーションの対象も当初の予定より多様であり、コンサルテーションに必要な学習教材や書籍・検査器具も買い揃える必要が生じている。
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