2019 Fiscal Year Research-status Report
Research on Reasonable Accommodation of Qualification Examination for People with Disabilities
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18K02784
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 俊行 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (90739434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 万由美 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (70308104)
田中 賢 日本大学, 理工学部, 教授 (00387747)
渡辺 崇史 日本福祉大学, 健康科学部, 教授 (30410765)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 合理的配慮 / 資格試験 / 国家資格 / 障害者 / 障害学生 / 検定試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は7月、10月に本研究グループによる会合を行った。本来は、10月の時点で、本研究グループとして3月に外部講師を招いて、合理的配慮に関する研究会を開催する予定であったが、新型コロナウィルスの影響を受け、各研究者は本来の業務への対応に追われた上に、外出自粛要請により、中止を余儀なくされた。 各研究者の研究活動においては、資格試験における障害者への合理的配慮に対して①各種国家資格試験の障害者特別措置の問題点は何か、②大学等で資格取得を目指す専門職養成課程における障害学生の各種国家資格受験に関する問題点は何か(養成課程での実習・演習を中心として)、③障害者が取得した国家資格を駆使して社会で活躍するための工夫はどのようであるか、④民間検定試験の障害者特別措置の現状の問題点は何か、⑤高等学校教職員が障害学生の進路指導の際の現状の問題点は何か、の5点が問いとして設定されている。2019年度は、①④に関し、田中が、②③⑤に関し、長谷川、渡辺、上野が調査活動を行った。 ①④に関して、予定通りに進んでいる。田中はすでに各資格試験の事務局に質問票を送り、合理的配慮の実態を調査し、多くの事務局より回答を得ている。調査資料は順調に収集され、合理的配慮の現状を把握しており、データベース化が進んでいる。この一方、②③⑤に関しは、資格試験を受験し、その資格を活かして就職した障害者を探し、受験した資格試験の合理的配慮とその後の状況などについて質的調査を行う予定であったが、調査は順調ではない。長谷川はすでに聴覚に障害のある教員のインタビューを終えたが、他の2人は行き詰っている。理由は該当する障害者がなかなか見つからないからである。資格試験に合格した障害者もいないわけではないが、合理的配慮を不要とする軽度の障害者であり、現段階では、質的調査の対象者として保留している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に遅れが見える理由として考えられることは、資格試験に対する障害者の考え方の変化が考えられる。かつては、障害者が就職あるいは社会参加するためには、社会的障壁がまだ存在し、資格試験はその障害者の能力を保証し、社会参加の障壁を下げるツールでもあった。しかしながら、障害者雇用促進法、障害者差別解消法、在宅雇用、IT革命などにより社会環境が改善された現在では、障害者に対する社会的障壁も低くなり、障害者の就職や社会参加が以前よりも容易になっている。これにより、障害者が資格試験を受験する動機も低くなり、受験者数も少なくなったのではないだろうか。このため、本研究において質的インタビューの対象者として、該当する障害者を見つけるのも容易ではなくなってきていることが、理由として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
資格試験事務局に対するアンケート調査の方は順調なので、このまま進め、分析作業に入る。 インタビュー調査は、該当者が見つからない現状であるため、対象者の条件を緩和する必要もある。具体的には、最近の情報だけではなく、かなり以前に資格を取得した対象者も候補に入れることなどである。また、アンケート調査の分析から、障害者の受験者数を参考にすることにより、該当資格を先に設定して、そこから対象者を絞っていく方法も考えている。
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Causes of Carryover |
今年度、コロナ禍により、計画していた研究会を開催できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は予定通りに研究会を開催して使用する。
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