2019 Fiscal Year Research-status Report
盲聾者と健常者の双方向情報交換を可能とする障害補償システムの開発
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18K02813
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
大武 信之 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 教授 (10223851)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 点字ディスプレイ / 点字入力装置 / タブレット端末 |
Outline of Annual Research Achievements |
点字をコミュニケーション手段としている視覚障害者が、読み書きの道具として使用する「点字ディスプレイ」は、非常に高価な装置である上に、サイズも大きく、かなりの重量である。そこで今年度は、タブレット端末で点字入力可能なソフトウェアを開発した。 点字は6点から成り、左右の人差し指・中指・薬指を使い入力するものであるが、タブレット端末での入力となると、当然タブレット画面は見えず、凹凸も無いため6点の位置関係が分からない。また利用者ごとに指の間隔も異なるため、6点の位置関係を固定の位置と固定のサイズで指定すると、利用者にとって使い勝手が非常に悪くなる。この問題を解消するために、本ソフトウェアを使用する際には、利用者が好む位置関係で入力できるよう初期設定機能を付加した。いわゆるキャリブレーション機能で、使用開始時に個人の好みに合わせ設定できるように設計した。 点字入力装置をタブレット端末で代替するため、これまで使い勝手悪かった重量・サイズの問題が解消される上、無線で使用できるため配線の面倒もなくなる。点字データは、点字コードのデファクト・スタンダードとなっている”North American Braille Computer Code (NABCC)”とし、データ転送は指定するIPアドレスへNABCCを送る設計になっている。標準的な手の大きさを考慮すると8インチ程のタブレット端末の使い勝手が良いが、画面サイズの小さいスマホでも本ソフトウェアは利用可能である。実際、全盲の方に使用して頂いたが、支障なく点字入力が行えた。 当該年度開発した点字入力ソフトウェアは、Android系のタブレット端末向けに実装したが、今後はiOS系のタブレット端末にも使用できるように、次年度以降に開発を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記項目「研究実績の概要」で述べた内容に沿って、開発は進んでいる。 初年度に、点字に関する知識が無い方が、音声を点字にするソフトウェアを開発することで、晴眼者から盲聾者への情報伝達を可能とし、当該年度は点字入力を可能とする装置をソフトウェアで開発したことで、盲聾者から晴眼者への情報伝達が可能となった。なお、点字に関する知識が無い方が点字を読むためのソフトウェアは初年度に開発したものをブラシアップし、日本語・英語・数式に関する点字知識が無くても、点字を墨字にするソフトウェアを使うことにより、点字の読取を墨字で行うことが可能となっている。双方向の開発を鑑み、進捗状況としては、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
音声を点字にするソフトウェア、点字を墨字にするソフトウェアおよび点字入力装置にあたるソフトウェアを開発してきたが、それぞれは別個のソフトウェアと動作しているため、最終年度に、これらを統合し使い勝手のよい環境を構築する予定である。
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Research Products
(1 results)