2020 Fiscal Year Research-status Report
主体的学修志向型学生を育成するオンライン仮想環境の開発と検証
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18K02909
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
成川 忠之 東海大学, 政治経済学部, 教授 (10381641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 義道 東海大学, 理学部, 教授 (00213611)
馬場 弘臣 東海大学, 教育開発研究センター, 教授 (10459472)
園田 由紀子 東海大学, 教育開発研究センター, 講師 (40369450)
鈴木 広子 東海大学, 付置研究所, 教授 (50191789) [Withdrawn]
安森 偉郎 東海大学, 教育開発研究センター, 准教授 (50369451)
林 大仁 東海大学, 教育開発研究センター, 教授 (70449106)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 学修支援 / オンライン支援環境 / 自己効力感 / 自己肯定感 / 主体的学修 / 仲間集団 / 行動変容 / 態度の学修 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、学習者を主体的な学習を肯定する仲間集団の中に置く、あるいは学習者が所属する仲間集団を、主体的学修を肯定する集団に変容させることができれば、学習者の主体的な学習態度を育成できるのではないかと考え、その実証を目的としている。その中では、1)仲間集団形成を支援するためのオンラインプラットホームの構築、2)主体的な学びを支援する各種オンラインコンテンツの作成、および3)開発したオンラインプラットホームを用いた学生の態度変容に関する実践的検討を掲げている。2019年度まではオリジナルのプロトタイプオンラインプラットホームの開発を進めていたが,動作の安定性などに問題があった。また,この研究で取り入れているチャット機能では,利用上の安全性確保などが欠かせない。この点についてもオリジナルのシステムには不十分な点があった。より実用的なシステムとするため,令和2年度(2020年度)では、このチャット機能をSlackをベースとして構築しなおした。本年度開発した機能では,BOTと呼ばれる自動化プログラムを組み込み,書き込み回数の監視および書き込み回数に応じた書き込み促進メッセージの自動送信,不適切語データと書き込み内容を照合しシステム管理者側に通知することで,利用者が安心,安全に利用できるようにした。 開発したシステムは短期間であるが運用試験を試み,期待通り動作することを確認した。任意に選定した授業において,授業を履修する学生に自由意志による運用試験への参加を依頼し,また学習観や行動様式に関する事前,事後アンケートを実施した。事前アンケートの結果から,運用試験への参加学生は学習することに対して肯定的であったこと,運用試験の期間が短期間であったことから,システム利用の学習者への影響については調査できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
オリジナルのオンラインプラットホームの構築を進めていたが,システムの安定性,安全性に関する問題を十分解決することができなかった。このため本年令和2年度では,既存のサービスを利用して構築し直した。これにより,運用試験の期間が想定よりも遅れることとなった。また,本研究では,対面での学生間の繋がりで形成される学習に対する積極的回避動機の改善が主たる目的であった。しかしながら,本年度は、コロナ禍の影響で、授業の大部分がオンデマンド型もしくはライブ型の遠隔授業となり,教員学生間,学生間同士の繋がりが少なくなった。このため,当初の計画では,教室内での活動状況から研究に協力してもらえる学生グループの把握,選定をすることができず,オンライン上で任意に被験者を募ることにした。しかし,事前アンケートの結果からは,被験者は学習に対して肯定的であり,積極的に学習を回避する傾向が小さかった。また,積極的に意見を述べる傾向も少なく,実際の使用状況とその影響について調査することができなかった。 システム自体の動作には問題なく,研究期間を1年間延長し、令和3年度に実際の授業で使用したデータを収集することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年間延長し,令和3年度では実際の授業で本年度構築したシステムを使用してデータの収集,分析を実施する。ただし,令和3年度も一部対面授業が再開されたものの,遠隔授業の比率は高い。このため,システムの利用が現実の学生グループに与える影響を検証することは困難と言え,システムの利用により学生個々人の心情や行動様式に変化が現れるかに焦点をあてて研究を推進する。 令和3年では,システムの利用期間が短かったことに鑑み,年度始めよりいくつかの授業で開発したシステムの利用を実施する。また,令和3年度も教場での学生への依頼,指示が困難であることが想定されることから,これらの依頼,指示は学習支援システムなどオンライン上で行う。令和2年度の運用試験において,学生の十分な活動を支援できなかった点を改善するため,教員,ファシリテーター,上級生による介入頻度を高くする。 学生のシステム使用に伴う変容に関してはオンライン上で事前事後アンケートを実施する。これらの結果を統合し,最終的な報告書にまとめる。
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Causes of Carryover |
オンラインプラットホームの開発においては、当初、独自開発したシステムに対するアドバイス、調整等を外部委託先と協力して実施する予定であった。しかし、独自開発したシステムの動作安定性や安全性における問題点を修正することが困難であったため、主要部分の機能を既存システムをベースに実現することに変更した。なお、研究メンバーに当該既存システムを応用したシステム開発のノウハウの築成が乏しかったことから、これら新機能の開発および運用の支援を外部委託先と協力して行うことにし、既有物品を有効利用することで、委託費等を増額した。一方、コロナ禍の影響で、対面による評価試験が行えなかったこと、学会等への出張が抑制されたことで旅費計上分の支出が行われず、最終的に次年度使用額が発生した。 令和2年度で実施できなかった評価試験を、研究期間を1年延長して実施することとし、当該評価試験に必要となる既存システム利用料、外部協力者に対する謝金、その他データ解析費用、報告書作成費用として次年度使用額を使用する。
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