2019 Fiscal Year Research-status Report
Fire safety education materials enriching students' understanding of energy concept in primary school science
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18K02951
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Research Institution | National Research Institute of Fire and Disaster |
Principal Investigator |
野村 祐子 総務省消防庁消防大学校(消防研究センター), その他部局等, その他 (80358788)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 火災 / エネルギー概念 / 防火教育 / 小学校理科 / 教材開発 / 深い学び / 消防研修 / 科学コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校理科において火災に関する基礎的な理解が図られるようにするため、第3学年「光の性質」、第4学年「水の状態変化」、第6学年「燃焼の仕組み」におけるエネルギー概念の理解を促す教材開発を行った。具体的には、虫眼鏡で日光を集めて白と黒の画用紙を焦がす実験と、高温の油で水を爆発的に沸騰させる実験と、燃焼の概念地図の作成を行った。 「光の性質」を活用した教材開発については、レンズ面積等を変えて実験を繰り返した。前年度に作成した映像教材に加え、画用紙が発煙し穴が開くまでの過程を時系列写真を用いて学習できるように改善した。さらに別途撮影した「ししおどし」の実験映像と組み合わせることによって、ゆっくり熱が伝わって急に燃え出す発火の仕組みを理解させるウェブ教材を公開する準備を行った。 「水の状態変化」を活用した教材開発については、水の状態変化に関わる多様な現象の観察方法を模索するため、日常生活で使用する身近な油を用いて9種類の実験を行った。また、水が高温の油と接触した時に生じる油から水への熱移動が引き起こす爆発的沸騰の過程を説明するために必要な一連の知識の集まり(命題群)を設定するとともに、概念地図の作成を試みた。これらの教材を理科教育と消防研修の学習過程に導入する方法を提案した。 小学校理科第6学年「燃焼の仕組み」において「二酸化炭素には消火作用がない」、「密閉空間内でろうそくの火が消えた後の酸素濃度は0%である」などの誤概念を形成しやすい「燃焼の3要素」の欠点を補うため、ろうそくの燃焼過程とろうそくにコップをかぶせたときの消炎過程を説明することができるようになるために必要な命題群を設定するとともに、ラベル数4(可燃物・酸素・熱・燃焼)の単純な概念地図を段階的に詳細化し、燃焼現象の理解を促すための概念地図を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画に従い、本年度は過熱水の突沸実験を行い、「水の状態変化」の学習を深める教材を作成することができた。しかし、「光の性質」を活用した教材については、平成30年度中にウェブサイト上に公開する計画であったが、達成することができなかった。一方、「燃焼の仕組み」の理解を促すための概念地図の作成に関しては、当初予期していない成果を挙げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 既に公開済のウェブ教材を発展させたろうそくの消炎実験を行い、第6学年「燃焼の仕組み」の学習を深める実験方法と映像教材を開発する。 (2) 作成した教材を順次ウェブサイト上に公開する。 (3) 既に公開済のウェブ教材と本研究で開発した全教材を構造化した防火教育カリキュラムを提案するとともに、教員の理解を促す技術資料を作成する。
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Causes of Carryover |
三者見積り等の発注前作業の手間を省くため、単価の低い実験用消耗品と図書および映像保存用ハードディスクを自費で購入した。また、研究会が開催中止になったため、旅費を使用しなかった。 ガラス器具・ガス類等の購入と実践研究のための試作教材配布および研究成果発表のための旅費として使用を計画している。
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Research Products
(3 results)