2020 Fiscal Year Research-status Report
Research and constructing theory of "alternative community" being generated through social crisis
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18K03013
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
香川 秀太 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (90550567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 栄莉 立教大学, 文学部, 准教授 (00774770)
宮本 匠 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 准教授 (80646711)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アソシエーション / 協同労働(協同組合) / マルチチュード / 贈与論(交換論) / 史的唯物論 / プロボノ / 難民 / 災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の社会は、経済的利益の獲得を主軸とする社会が基盤となっていた。これに対し、本研究プロジェクトは、震災、孤立、難民、職場での抑圧といった危機的状況の中から生まれる、新しい生き方や社会関係(オルタナティブ・コミュニティ)の生成過程やその実態調査を行うものである。 本年度は、コロナ禍に突入して全般的な社会情勢や、対面的なコミュニティ活動が危機的になったことをふまえて、今後のコミュニティ活動や社会形成の在り方に関する論考(連載)を公開した。また、引既存の経済社会システムへの疑義や抑圧から、新しい生活様式やまちの在り方を創造しようとするユニークな実践活動の事例調査(相模原市藤野、社会企業、NPO法人の活動)を行った。そして、2020年度は、労働者協同組合法が可決・成立され、NPO法人や社会企業に加えて、次代を担う新しい働き方として着目されはじめているが、この協同労働に関する調査もさらに行った。さらに、まちづくり調査や、相模原市の議員、職員、住民らと連携し、市民参加型のまちづくりに関するアクションリサーチも引き続き行い、機関誌への投稿も行った。分担者も,引き続き,アフリカの難民に関する研究や,災害復興支援の活動について研究を進めた。理論研究として、これまでのマルチチュード論等の関連理論の研究に加え、マルクス&エンゲルスの共産主義論やヴィゴツキーの情動論等の再解釈の作業も進め、上記の調査研究の成果と合わせることで、それらの理論を現代流にアレンジして、交歓や(ZAD)Zone of Associational developmentという新たな概念をさらに発展させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、コロナ禍によって研究活動が制限されてしまい、研究期間を延長したことが主な理由である。質問紙調査に関しては、コミュニティ活動がコロナ禍の影響を受けたため調査が制限された。他方で、オンラインで可能なインタビュー調査や理論研究をすすめるなどの工夫を行うことでこれらをカバーする試みを行った。また、コロナ禍によって、経済活動とコミュニティ活動の在り方を根本から検討し直す契機となり、これまで調査してきたコミュニティ活動に、これまでの社会生活の在り方の負を乗り越える可能性もまた、多く含まれていることが確認でき、これについての論考を公開することもできた。そして、昨年度新たに構築したネットワークを活かして、協同労働に取り組むワーカーズコープやその周辺の社会企業等の活動を新たに調査することができるなどの、プラスの成果も得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年の終わり頃に続き、今年度(2021年度)も、引き続き新型コロナウイルスの影響で、当初予定していた調査がいくつか困難となり、予定を変更せざるを得ない点が生じた。他方で、新型コロナの問題は、本研究のテーマ「社会的機状況」にまさしく当てはまるものといえるため、これをふまえた議論をさらに行う必要がある。今後は、感染症の歴史学(経済システム、コミュニティシステムの変化)に関する知見もふまえたうえで、オルタナティブコミュニティの在り方を議論する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により調査・研究の進捗が遅れたため。感染症拡大の状況をふまえながら、インタビュー、観察調査、理論研究とそれらの総括を行うための物品、旅費、謝金を使用する予定である。
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Research Products
(11 results)