2020 Fiscal Year Research-status Report
Determinants of Panic and Craze at Disasters in China
Project/Area Number |
18K03022
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
土田 昭司 関西大学, 社会安全学部, 教授 (90197707)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 和宏 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (60581238)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 災害時行動 / パニック行動 / 中国 / 質問紙調査 / バーチャルリアリティ / 実験室心理実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本やアメリカ合衆国においては報告されないが、中華人民共和国においては災害時に人々がパニック行動を起こすことがあると報道されている。その原因についての検討として、昨年度中華人民共和国各地の15大学の学生、計1,116名を対象とした質問紙調査を実施した。その結果を分析検討した。1)パニック傾向性尺度は「同調性」「混乱」「利他性(逆転項目)」「利己性」「認知単純化」の5因子から構成されていた。2)パニック傾向性尺度5因子のうち「混乱」因子の妥当性が最も高かった。3)建物の堅牢性などの物理的状況要因と最も関連したのは「混乱」「同調性」であった。4)政府や近隣住民からの支援などの社会的状況要因と最も関連したのは「利他性」「混乱」であった。5)社会規範の認知などの文化的要因とは「利他性」「同調性」「混乱」「利己性」が関連していた。6)援助傾向性尺度は「互恵性」「功利性」「無償援助」の3因子から構成されていた。7)パニック傾向性尺度の5因子と援助傾向性尺度の3因子はそれぞれ有意に関連していたが、特に「混乱」と「功利性」の関連が高かった。これらの成果はアメリカ合衆国に本部がある国際学会The Society for Risk Analysisの年次大会において発表した。 バーチャルリアリティを用いた実験室心理実験を中華人民共和国の南京大学の学生を対象に実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症流行のため実施できなかった。バーチャルリアリティを用いた実験室心理実験は日本の関西大学において試行を重ねた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、昨年度に実施した中華人民共和国各地の15大学の学生、計1,116名を対象とした質問紙調査の結果を分析検討した。その成果はアメリカ合衆国に本部がある国際学会The Society for Risk Analysisの年次大会において発表した。 この調査結果をふまえて、中華人民共和国の南京大学においてバーチャルリアリティを用いた実験室心理実験を日本から機材を持ち込み実施する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症流行のため中華人民共和国と日本との往来は事実上不可能となった。中華人民共和国における研究協力者Zhaiは心理学実験を実施した経験は全くなく、また、バーチャルリアリティを用いた実験室心理実験を実験者として実施するにはある程度の習熟を要するため、日本から機材のみを中華人民共和国に送り研究協力者に実験室心理実験を行ってもらうことも困難であった。日本においてバーチャルリアリティを用いた実験室心理実験の予備的な試行は行ったものの、今年度に予定していた中華人民共和国の人々を対象とした実験室心理実験を実施することができなかった。 そのため、「遅れている。」と回答した。
|
Strategy for Future Research Activity |
中華人民共和国における新型コロナウイルス感染症流行は、報道によれば終息に向かっているとのことである。日本においてもワクチン接種が政府の計画どおりに進めば2021年度中に新型コロナウイルス感染症流行はある程度の終息を迎える可能性もあると考える。それにより、今年度中に中華人民共和国と日本との往来が可能となった場合には、本年度に計画していた中華人民共和国におけるバーチャルリアリティを用いた実験室心理実験を実施する。ただし、その場合であっても中華人民共和国における実験室心理実験の成果を国際学会等において発表し諸外国の研究者との討議を行うことは困難であろうと考える。 2021年度中に中華人民共和国と日本との往来が可能とはならないと見込まれる場合には、日本において災害時行動についてのバーチャルリアリティを用いた実験室心理実験を実施して、中華人民共和国における質問紙調査結果との比較検討を行う。また、日本において一般市民を対象としたオンラインによる質問紙調査を実施して中華人民共和国における質問紙調査結果との比較検討もおこなう。その成果は、国際学会等において発表し諸外国の研究者との討議を行うとともに論文発表をする。
|
Causes of Carryover |
中華人民共和国の南京大学においてバーチャルリアリティを用いた実験室心理実験実施を予定していたが、新型コロナウイルス感染症流行のため中華人民共和国と日本との往来は事実上不可能となった。中華人民共和国における研究協力者Zhaiは心理学実験を実施した経験は全くなく、また、バーチャルリアリティを用いた実験室心理実験を実験者として実施するにはある程度の習熟を要するため、日本から機材のみを中華人民共和国に送り研究協力者に実験室心理実験を行ってもらうことも困難であった。このため、中華人民共和国における実験室心理実験に要する経費の支出がなかった。この実験室心理実験は次年度に実施する予定である。 前年度に実施した中華人民共和国における質問紙調査の分析検討結果を国際学会The Society for Risk Analysis年次大会において発表した。この学会大会はアメリカ合衆国にて開催される予定であったが、新型コロナウイルス感染症流行のためオンライン開催となった。そのため、大会出席のための旅費の支出がなかった。また、申請者は当該学会からFellow賞を受賞したことから大会参加費が免除されたためその支出もなかった。次年度に、本研究についての成果報告と討議を国際学会にて行う予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
-
[Presentation] Chinese Panic Behaviors in Earthquakes2020
Author(s)
TSUCHIDA, S., Zhai, G., Urayama, K., Shizuma, T., Kubo, M., Omura, K.
Organizer
The Society for Risk Analysis, Annual Meeting 2020
Int'l Joint Research
-
-