2022 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the mechanism of pain in children as a social cognitive ability
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18K03047
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
柿沼 美紀 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (00328882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 一枝 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 人工臓器・機器開発研究部, 研究員 (00338568) [Withdrawn]
紺野 道子 東京都市大学, 人間科学部, 准教授 (30307110)
財部 盛久 琉球大学, 人文社会学部, 客員研究員 (50175436)
百田 豊 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (50418612)
野瀬 出 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (60337623)
上村 佳世子 学校法人文京学院 文京学院大学, 人間学部, 教授 (70213395)
田嶋 華子 日本医科大学, 医学部, 講師 (30465314)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 痛みの表出 / 子ども / 犬 / 受診行動 / 発達障害児 |
Outline of Annual Research Achievements |
痛みの表出は時に社会的コミュニケーション機能を包括している(Craig 2009)。子どもは自身の身体的な不具合を解消するためには、周囲の養育行動を引き出し、適切な処置を受ける必要がある。医療機関受診のタイミングは、養育者により決定づけられることが多い。発達障害児や知的能力障害など感覚や言語表出が障害されうる疾患・特性をもつ児では、症状を適切に表現できず医療機関への受診が遅れる可能性や、不要な受診がみられる可能性がある。人以外の動物の場合は、社会的コミュニケーションとしての痛みの表出が限定的である。一方、人と生活する中で使役犬として育種繁殖され、高いコミュニケーション能力を獲得した犬の中には、痛み、痒みなどの不快感を訴えるタイプが少なくない。 本研究チームでは、養育者は守るべき対象の痛みの表出や受診時の問題行動に応じて受診行動が変わる可能性があるという仮説を立てた。獣医療における犬の飼い主の受診行動から、痛みの表出の多い犬は軽度でも受診するが、病気が進行していても表出しない犬は受診のタイミングが遅れていた。また動物病院における犬の問題行動の有無も受診のタイミングに影響していることが伺えた。小児科医及び養育者を対象とした調査からは、発達障害(ADHD、ASD、MR)をもつ児は受診が遅れる傾向にあり、その原因として感覚鈍麻や表出低下、比較的痛みに敏感でも待合室でおとなしく待てなかったり、診察室で暴れることがあるため受診を控えている可能性が示唆された。保育現場の事例研究からは、ASD児が痛みを表出しないときでも保育者が声をかけるなどの対応を繰り返すことでASD児が痛みを自発することが示唆された。養育者は保護対象の子どもや動物の痛みの表出を手がかりに養育を行なっていると考えた場合、医療者、保育者などはそれぞれの特性を考慮し、適切な関わり方法の指導を行うことが求められる。
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Research Products
(4 results)