2019 Fiscal Year Research-status Report
教員養成における生徒指導上の諸問題解決のための実践力育成プログラムの開発
Project/Area Number |
18K03076
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
石川 満佐育 聖徳大学, 児童学部, 准教授 (00512063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 豊一 聖徳大学, 心理・福祉学部, 教授 (10348154)
中井 大介 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (20550643)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 事例検討 / インシデントプロセス法 / 教員養成 / 教材事例作成 / ルーブリック評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,教員免許取得志望学部生を対象に生徒指導上の諸問題に対応するための実践力育成プログラムを開発することであった。本研究では,インシデントプロセス法(以下:IP法)の方法論を援用した事例検討を軸に,先行研究の課題を改善し得るプログラムの開発を試みることとした。 2019度の実施計画は,①昨年度に引き続き,IP法実施時の指導案,教材事例案,回答例を作成すること(前半),②昨年度作成されたルーブリック評価の原案を修正すること(前半),③パイロット版プログラムの実施(後半)の3点であった。 ①について,昨年度実施した実践から得られた意見,反省等をもとに,指導案,教材事例の修正を行った(4月~9月)。また,質問段階の回答例を整理した。②について,昨年度実施した実践から得られた意見,反省等をもとに,研究代表者,研究分担者で協議し,ルーブリック評価票の再検討を行った(8月)。③について,教職大学院の院生(現職教員5名,9月~11月)を対象に,パイロット版プログラムとしてIP法による事例検討を実施した。また,集中授業において(受講生70名程度,2月),学部生(心理学に関心のある学生)を対象にIP法による事例検討を実施した。集中講義の日程では本研究で計画したプログラム(8コマ分)の実施が困難であったため,実際の事例検討では2事例実施し,個人作業中心の内容で実施した。実施後に,自由記述による感想の記入を求めた結果,否定的な意見はなく,学習効果が高いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は当初の計画通りに進んでおり,順調に進展していると判断した。 前半は,計画通り昨年度の作成されたIP法実施時の指導案,教材事例,ルーブリック評価票の検討が行われ,修正を行うとともに,新たに回答例の作成を行うことができた。また,年度後半には,教職研究科の大学院生を対象にパイロット版プログラムの実施を行うことができた。また,集中授業においてグループ編成を行わない個人作業中心のプログラムの実施を試みた(ルーブリック評価未実施)。新たな方法の考案にもつながった一方で課題も生じたので引き続き検討を進めていくこととする。 概ね計画通りの実施はできたものの課題も複数見出されたため,次年度に検討していくこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の取組においていくつかの課題が見出された。 主な課題の1点目は,導入(1コマ目)の内容についてである。当初計画では,導入の1コマ目でIP法の説明,ルーブリックの実施を予定しており,パイロット版でも計画に基づいて実施した。パイロット版施行後の意見収集の結果,1コマ目のみでIP法の手順を理解し,事例検討を行うことは初学者には困難な可能性が高く,練習課題などを入れ,フィードバックを行ったほうがよいとの意見がだされた。また,ルーブリック評価も実施時期についても意見が出された。昨年度学部生にも試行的に実施したが,受講人数が少数であり,8コマ分を想定したプログラムとしての実施ではなかったため,導入に関する意見は得られなかった。したがって,パイロット版プログラム実施後の意見もふまえ,プログラム8コマ分の内容の修正が必要と考えられた。具体的には,取り上げる事例の数を減らし,導入のコマを増やすなどの対応を検討している。 2点目は,対象者の人数の問題である。当初60名程度を対象にしたプログラムの実施を計画していたが,複数のグループで実施する場合,予想以上に時間がかかり,計画していた1事例2コマの時間配分では困難なことが明らかになった。そのため,集中授業での実施において,中規模程度の人数を対象に個人作業中心の内容のプログラムを実施した。次年度は対象人数(受講者数)に応じた,実施方法を検討する必要があると考えられる。 さらに,研究代表者の所属機関が変更となるため,次年度の実施に支障が出る可能性が考えられる。担当授業において実施可能かを早急に判断し,プログラムを実施するフィールドを確保することが必要である。
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Causes of Carryover |
当初,得られたデータの分析を行う予定だったが,パイロット版プログラム実施に伴い複数の課題が生じ,その課題の検討に時間を費やしたため,データ分析を行うことができなかった。そのため,データ入力に伴う人件費が予定より少くなった。また,データ分析を行うためのソフトの購入を行わなかった。次年度データ分析を行う予定のため,残額は人件費,分析用ソフト購入費用に充てる予定である。
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