2019 Fiscal Year Research-status Report
The effect of self-relaxation on somatic awareness, posture control and emotion
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18K03110
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Research Institution | Iryo Sosei University |
Principal Investigator |
窪田 文子 医療創生大学, 教養学部, 教授 (20195506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末次 晃 医療創生大学, 教養学部, 教授 (40324892)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 動作法 / 重心動揺 / 姿勢制御 / 感情状態 / 体験様式 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は研究協力者5人を得て、動作法による立位姿勢調整の練習を行い、データを収集した。それらのデータのうち、主観的身体感覚の指標と生理的指標の中の重心動揺軌跡との関連について分析を行った。 まず、重心動揺の総軌跡長、単位時間軌跡長、外周面積、矩形面積、実効値面積について、被検者、動作練習、動作法の前後、開眼ー閉眼状態について分散分析を用いて比較したところ、総軌跡長、単位時間軌跡長において、開眼ー閉眼状態の主効果が見られ、閉眼での立位に比べ、開眼での立位の方が重心動揺の総軌跡長と単位時間軌跡長とが有意に小さかった。これから、目を開けて立つ方が、目を閉じた時に比べ、重心動揺が小さいことが示唆された。 次に主観的指標について、被検者、動作練習、動作法の前後、開眼態―閉眼状態の4要因について分散分析を用いて比較したところ、3つの主観指標(まっすぐ感、踏みしめ感、安定感)とその合計において、動作法前後の主効果が見られ、動作法の実施前に比べて後で有意に高く、動作法実施後は、踏みしめている感じ、からだがまっすぐな感じ、安定して立っている感じが強まることが示唆された。 また、主観的指標と重心動揺の総軌跡長との関連について相関を算出したところ、3指標と総軌跡長との間に負の相関がみられ、特に安定感と総軌跡長との間の負の相関が強かった。これから、安定感が高くなると重心動揺は小さくなる傾向が示唆された。しかし、動作法の前後で相関を比較してみると、動作法実施後の方が、その関連が弱まり、安定感が高くなると重心動揺は小さくなる割合が減り、動く距離が増えている状態で安定感は高くなっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は研究協力者を募り、6月には実験を開始したが、動作法による介入を6回実施するため1人の実験に6週間を要する。実際には、研究協力者の都合で予定していたにもかかわらず実験が実施できずキャンセルになることが数回発生し、その分実験期間が予定より延長したため、今年度はデータ収集が完了したのが5人となった。また、当初の計画では、研究代表者のほかに動作法実施者を雇用し、また、データ処理・分析の補助者も雇用する計画でいたが、候補者のスケジュールの調整ができなかったため、研究代表者と研究分担者で動作法の実施、並びにデータ収集を行った。そのため、同時期に対応できるのが多くて2名に限られた。それがデータ収集が5人になった要因であった。また、後半は新型コロナウイルス感染拡大のため、大学への学生の入構が禁止され、実験を一旦中止せざるを得なかった。それも、当初の予定からするとデータ収集が遅れた要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は研究協力者を募り、引き続きデータ収集を行い、サンプル数を増やす予定である。そのため、新型コロナウイルス感染状況が落ち着いたら、実験を再開したい。しかし、1人の実験に最低6週間(1か月半)かかるため、1年にデータを収集できる人数が限られるため、2020年度が最終年度であるが、研究期間の延長を希望する予定である。さらに1年延長することにより、当初予定していたサンプル数に近づけることができると考える。 また、主観的指標について、1(まったくその感じがない)から10(はっきりとその感じがしている)の10段階で回答を求めているが、これまでのデータを見ると全体的に高く、天井効果が生じている可能性があるため、この点を検討し、必要があれば段階を細かく設定することを考えたい。この他にも、実験手続きについて再度精査し、必要な修正を行う予定である。 さらに、立位姿勢の変容を客観的にとらえる指標として静止画像と筋電図を収集している。これらの主観的指標との関連についての分析については行えていないので、今後行う予定である。また、心理検査を用いて収集している感情状態について、動作法実施の経過に伴う変容についても、今後分析を行う。
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Causes of Carryover |
2019年度は、研究代表者と研究分担者のほかに動作法実施とデータ処理作業者を雇用してデータ収集とデータ分析を進める予定でいたが、候補者とのスケジュールが調整できず、雇用できなかった。そのため、人件費・謝金の大部分が次年度へ繰り越しとなった。2020年度は候補者と予定の調整を行い、予定していた支出ができるように努力する。 2020年度はデータ分析のために統計ソフトを購入する予定である。また、データ処理作業者を雇用し、予定していた支出を執行する。
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