2020 Fiscal Year Research-status Report
The effect of self-relaxation on somatic awareness, posture control and emotion
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18K03110
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Research Institution | Iryo Sosei University |
Principal Investigator |
窪田 文子 医療創生大学, 心理学部, 教授 (20195506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末次 晃 医療創生大学, 心理学部, 教授 (40324892)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動作法 / 姿勢制御 / 自己弛緩 / 感情状態 / 重心動揺 / 体験様式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、動作法により身体の緊張を自己弛緩することによる立位姿勢の制御の変化について、重心動揺などの生理的指標と安定感などの主観的指標を用いて捉えることが第1の目的である。また、立位姿勢の安定に伴い、不安などの感情状態の変化について検討することが第2の目的である。 今年度もコロナウイルス感染に注意しながらの実施となり、4人の実験協力者からデータ収集を行った。これまでに収集したデータと合わせて8人のデータについて、動作法の前後、セッションごとの差を重心動揺、主観的指標、感情状態について、分散分析を用いて比較した。その結果、重心動揺の指標(総軌跡長、矩形面積、単位面積)については、主効果、交互作用ともに有意差は認められなかった。主観的指標(まっすぐ感、踏みしめ感、安定感)については、動作法前後の主効果が有意となり、動作法実施前に比べ、実施後の方が、まっすぐ感、踏みしめ感、安定感が高かった。感情状態については、動作法前後の主効果が有意となり、動作法実施前に比べ、実施後の方がネガティブな感情が低かった。 重心動揺については個人差が大きかったため、個別の分析を行った。縦軸に重心動揺の指標を、横軸に主観的指標の安定感をとり、動作法前後の変化を5セッションごとにグラフにプロットしたところ、動作法実施後に安定感が増加し、重心動揺の指標も増加する傾向を示した被験者、安定感は増加し、重心動揺の指標は減少する傾向を示した被験者、また一定の傾向を示さない被験者がみられた。 個人ごとの5セッションの変化について重心動揺の3指標を比較したところ、単位面積は、他の2つに比べて前後の変化の傾向に一貫性があり、安定していた。単位面積は、総軌跡長に対する矩形面積の比であり、動作法実施前後で比較することで、それぞれの相対的な変化量が分かる。今後、この指標を用いて、重心動揺の変化傾向の分類可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、動作法を用いての自己弛緩が身体への気づきや姿勢制御に及ぼす影響を実験的に検討することを目的としている。動作法では、援助者が研究協力者の自己弛緩を援助する時、研究協力者の身体に触れて行う。今年度も4月当初はコロナウイルス感染状況の影響で大学における授業がオンラインとなり、学生が登校してこない状況であったため、実験の再開ができたのが、後期に入ってからであった。データ収集ができないあいだは、これまでに収集したデータの分析に時間をあてた。このような状況により、データ収集に遅れが生じており、研究全体の進捗状況も遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルス感染状況をみながらであるが、ゴールデンウイーク後2週間以上待ってから、実験協力者を募り、今年度のデータ収集を開始する予定でいる。今後感染拡大せず、現状維持できた場合には、感染防止の処置を講じながら、データ収集を行い、データ数を増やし、最終年に向けて、研究のまとめに入る計画である。
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Causes of Carryover |
初年度に購入した重心動揺計が見積もりで提示された金額よりかなりやすく購入できたこと、コロナウイルス感染拡大により、実験実施予定が大幅に遅れ、収集したデータ処理を研究者自身で行う時間が確保できたため、データ処理のために雇用する予定であった学生アルバイトの人件費の支出が生じなかったこと、研究成果の発表を予定していた学会がオンライン開催となり、学会発表のための出張旅費が必要なくなったことなどで、予定していた予算計画に大幅な狂いが生じることとなった。 最終年度である本年度は、データ処理は計画通り学生アルバイトを雇用して行い、データ分析の遅れを取り戻すとともに、研究費の使用を行う予定である。
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