2020 Fiscal Year Research-status Report
自閉症スペクトラムの対人社会性の解明-主題統覚検査の物語反応と視覚運動から-
Project/Area Number |
18K03114
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
田中 奈緒子 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (50277935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 あやの 昭和女子大学, 人間社会学部, 講師 (00527575)
大森 幹真 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (50779981)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム症 / 主題統覚検査(TAT) / 視線運動 / 対人社会性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自閉スペクトラム症(ASD:autism spectrum disorder)の成人を対象に主題統覚検査(以下、TAT)実施時における視線運動を計測し、産出された物語と視線情報を用いてTATの物語産出時の認知・思考プロセスを検討し、ASDの対人社会性の特徴を解明することである。2020年度の研究実施状況は次のとおりである。12名の大学生を対象に、TAT(主題統覚検査)実施時における注視点計測装置により測定した実施時の視線運動パターン、及び産出された物語内容、自閉症スペクトラム指数(成人用AQ日本語版)のデータを収集した。これらデータの分析結果として,図版の顔領域への総注視時間が長いほど,注意の切り替えやコミュニケーションがスムーズではない傾向が見いだされたことを、日本ロールシャハ学会第24回大会(web開催)(2021月11月開催)において『TAT物語産出時の視線運動―「人物の顔」領域への注視―』として発表した。その後、さらに大学生を対象に実験を行い11名のデータを収集した。そのため、現在20名強のデータを収集することができた。 研究の今後に関しては、コロナ禍の社会状況の中にあって臨床群に対して実験を実施することは困難であることから、実験対象者を非臨床群である大学生のみとしたアナログ研究へと変更することを予定している。ASD傾向等の特性を利用することにより、本研究の研究目的を変更せず研究の継続が可能であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学生12名の、TAT(主題統覚検査)実施時における注視点計測装置により測定した実施時の視線運動パターン、及び産出された物語内容、自閉症スペクトラム指数(成人用AQ日本語版)の分析結果から,図版の顔領域への総注視時間が長いほど,注意の切り替えやコミュニケーションがスムーズではない傾向が見いだされた。引き続き、大学生を対象に実験を行い、11名のデータを収集した。 なお、大学生データに加え、ASDの臨床データを収集する計画であったが、コロナ禍の社会状況下において、臨床群への実験実施はできておらず、今後の実施も難しい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、自閉スペクトラム症の対人社会性の特徴を、主題統覚検査実施における視線運動及び産出された物語から検討することを目的としている。しかし、コロナ禍の社会状況下にあって、臨床群に対して実験を実施することは困難となった。そのため、実験対象者を非臨床群である大学生のみとしたアナログ研究へと変更する予定である。ASD傾向等の特性を利用することにより、本研究の研究目的を変更せず研究の継続が可能であると考える。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、予定していた実験協力者を実験室に招いての個別実験を実施することが難しくなり、実験協力者への謝金・謝礼、テープ起こし等の費用を使用しなかった。また、学会がWeb開催となったことから、旅費を使用しなかった。 2021年度の使用計画は以下のとおりである。引き続き実験を行い、データ収集を継続する。そのため実験協力者への謝礼の発生が見込まれる。また2020年度に収集したデータも含め、収集データの整理・解析を行うための物品購入のほか、音声データの文字起こしに伴う謝金、成果発表を行う予定の学会年会費、及び大会参加費、大会参加に伴う旅費等の支出を予定している。
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