2018 Fiscal Year Research-status Report
学生相談と障害学生支援の協働による実践の充実化に関するコミュニティ心理学的研究
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18K03127
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池田 忠義 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (70333763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松川 春樹 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (00769664)
高橋 真理 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助手 (20751069)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 障害学生支援 / 来談時期・経路 / 聴覚障害 / 資源利用 / 学生相談及び障害学生支援の組織・体制 / Webページの分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らの所属する大学の障害学生支援の専門部署である「特別支援室」における平成26年から29年度までの4年間の相談活動に基づき,学生の来談時期や経路,高校までの支援の有無,大学での合理的配慮の要望等について分析を行った。その結果,学生の来談時期は障害種によって異なること,そこには大学入学以前の診断や支援の有無が強く関連していることが示された。また,来談経路として入学時での学生・保護者向けの相談案内が有効であること,障害種によって合理的配慮を申請する割合が異なることが明確になった。したがって,これらの特徴を踏まえた個別支援や支援体制の整備が重要であると言える。 聴覚障害のある学生への支援プロセスに基づき,学生の困り感とその支援のために活用した資源との関連について整理・検討した。その結果,本人の所属する部局の教職員や授業担当教員,支援学生等の学内資源とともに,他大学の障害学生支援担当者や支援機器メーカー担当者等の学外資源を活用していくことが有効であることが明らかになった。 全国の国立大学86校のWebページを対象に,学生相談及び障害学生支援の組織・体制と活動内容について集計・分析した。その結果,学生相談及び障害学生支援の組織・体制としては,独立型・部門型・統合型のうち独立型が半数以上を占めていること,独立型より部門型の方が双方の支援内容が重なっており,連携・協働しやすいこと,活動内容に関する情報提供が十分なされていないことが示された。これから,学生相談及び障害学生支援の連携のあり方や体制整備の方策等をより詳細に検討すること,より効果的な情報提供のあり方を明らかにすることの必要性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
障害学生支援部署を利用する学生の全体的な特徴,聴覚障害学生の支援ニーズと資源利用について明らかになった。これらに基づき,障害種別・事例ごとの特徴についての分析を更に進めていく予定である。 全国の国立大学における学生相談及び障害学生支援の組織・体制や活動内容については,おおむね明らかになったため,活動の詳細や望ましい組織・体制のあり方,支援担当者の問題意識についても明らかにする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
個別の相談経過に基づき,障害種別・事例ごとの特徴や有効な支援の方策について検討する。その際には,学生相談担当者と障害学生支援担当者と連携・協働という視点からの検討を行う。 学生相談及び障害学生支援の組織・体制や活動については,各大学への質問紙調査や訪問調査等によって,その詳細を明らかにする。 また,個別支援を充実させるために教職員・学生といかに連携するかを明らかにすることが必要であるため,支援にかかわる教職員や学生の抱える課題やニーズを把握・検討するための調査を行う。
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Causes of Carryover |
研究を進める順番を一部入れ替えたことで調査費が次年度の使用予定になったこと,本年度の研究成果の一部については次年度の学会にて発表することに計画を変更したことにより,次年度使用が生じた。 次年度は,修正した計画に基づき研究を進める予定である。
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Research Products
(3 results)