2018 Fiscal Year Research-status Report
対人援助職者のバーンアウト予防のためのACTプログラムの開発
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18K03155
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大月 友 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (20508353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 芳幸 佐賀大学, 学校教育学研究科, 准教授 (30510367)
国里 愛彦 専修大学, 人間科学部, 准教授 (30613856)
石津 憲一郎 富山大学, 大学院教職実践開発研究科, 准教授 (40530142)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 心理的柔軟性 / ACT / バーンアウト / パフォーマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、当初の予定を前倒しし、以下の3つの実験研究を遂行した。 (1)対人援助職を対象とした対面型・研修型の集団ACTプログラムの効果検証(グループデザイン:パイロットスタディ) (2)対面型の個人ACTプログラム(価値の明確化とコミットメント、結果の視覚フィードバック)の開発とその効果検証(シングルケース多層ベースラインデザイン) (3)対人援助職を対象とした動画コンテンツによるACTプログラム(価値の明確化とコミットメント)の開発とその効果検証(シングルケース多層ベースラインデザイン)
国内外の職業人・対人援助職者に対する、心理的柔軟性モデル(ACT)による先行研究のレビューを行った。その結果、心理的柔軟性がバーンアウトの予防やパフォーマンス向上において、重要な変数であることが示唆されたため、まず(1)のように、予備的な検討のために、少人数のグループ(10名)に対して我々が作成したACTを用いたプログラムを実施し、統制群(10名)を設定しての効果検証を行った。次に、(これまでのACT研究で手薄になっていた、価値の明確化とコミットメントによる、パフォーマンス向上への効果について、(2)と(3)においてシングルケースデザインを用いた効果検証を行った。(2)はアナログ研究として、学生を対象にアカデミックパフォーマンスに対する、ACTの価値の明確化やコミットメント手続き、加えて、視覚的フィードバックを行い、時系列でのパフォーマンスの変化を検証した。(2)に関しては、実際の介入は対面で行い、データの測定のみwebベースで行った。(3)は対人援助職を含む社会人を対象に、webベースでのACTの価値の明確化やコミットメント手続き(動画視聴)が仕事のパフォーマンスに与える効果を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、介入研究は2019年度以降の予定であったが、先行研究のレビューも順調に進み、かつ、予備的な介入研究を実施できる機会に恵まれたため、計画を前倒しして、プログラム開発とその効果検証の試みが可能となった。特に、研究II(対面型・研修型でのACTプログラムの開発とその効果検証)に関しては、グループデザインによる効果検証を行うことができ、かつ、プログラムの効果も非常に高いことを確認することができた。また、研究III(動画コンテンツ+ワークブックによるセルフヘルプ型プログラムの開発)に向けて、webベースでのACTの価値の明確化やコミットメント手続き(動画視聴)を用意し、その効果をシングルケース多層ベースラインデザインで検証できたことは、今後のプログラムの精緻化のための基礎資料が用意できたよう点で、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度(H31/R1)は、継続して研究I(心理的柔軟性とバーンアウト、ストレスに関する縦断調査研究)を進める予定である。現在、先行研究のレビューも終わり、調査の計画も立っている状態である。さらに、研究II(対面型・研修型でのACTプログラムの開発とその効果検証)のためのプログラムの精緻化を行っていく。また、2020年度(R2)に向けて、研究III(動画コンテンツ+ワークブックによるセルフヘルプ型プログラムの開発)に向けた準備を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
調査研究の実施に伴うデータ入力のための人件費を想定していたが、2018年度は調査研究を行っていないため、次年度使用額が生じた。そのほかの研究費に関しては概ね使用計画通りとなっている。2019年度(H31/R1)においては、調査の実施に伴い、人件費・謝金を使用計画より6.5万円多く使用する予定である。その他は使用計画から大きな変更はない。
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Research Products
(4 results)