2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03169
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
はい島 旭 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70555672)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 検索誘導性忘却 / マウス / 物体再認記憶試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で着目する検索誘導性忘却(RIF)は,ある事柄を思い出すことを経験すると,それに関連した記憶が抑制される現象である。本年度は,マウスにおいてRIFは雌雄共に生じるのか,また若齢期および老齢期のマウスにおいてRIFが生じるかについて,新奇物体再認試験を改変した行動試験を用いて検討した。被験体には,C57BL/6J系統の4週齢(若齢)雌雄マウス,12週齢(成体)雌雄マウスおよび22-24ヶ月齢(老齢)雄マウスを用いた。試験は見本期,検索経験期およびテスト期で構成されていた。見本期では異なる2種類の物体(A,B)を装置内に置きマウスに探索させた。検索経験期では,見本期で提示した物体の一方(A,A)を装置内に置きマウスに探索させた。テスト期では,検索経験期で提示した物体と新奇な物体を装置内に置き(A,D)マウスに探索させる条件(Rp+)と,見本期では提示したが検索経験期では提示しなかった物体と新奇な物体を装置内に置きマウスに探索させる(B,E)条件(Rp-)でテストを行なった。また検索経験期に,見本期でもテスト期でも用いない物体(F,F)を装置内に置きマウスに探索させる条件(Nrp)も設定した。テスト期における新奇物体への弁別率を指標とした。その結果,若齢および成体雌雄マウスでは,Rp+条件およびNrp条件では弁別率がチャンスレベルより有意に高かったが,Rp-条件では弁別率がチャンスレベルであった。老齢雄マウスも同様の結果であった。これらのことから,RIFはマウスにおいて雌雄ともに生じること,若齢期から老齢期まで保持されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,若齢期から老齢期までのマウスにおける検索誘導性忘却について検証し知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,検索誘導性忘却が一時的なものであるか,覚える時と思い出す時で文脈が異なっていても生じるかといった検索誘導性忘却の特性について検証していく。また検索誘導性忘却に関わる脳領域やメカニズムの検討についても着手していく予定である。
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