2018 Fiscal Year Research-status Report
写像類群のジョンソン準同型をめぐる研究:曲面上の1次元的対象を用いたアプローチ
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18K03308
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
久野 雄介 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (80632760)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 写像類群 / デーンツイスト / ジョンソン準同型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究が扱う一つのテーマは、曲面上の閉曲線に対する、一般デーンツイストと呼ばれる代数的構成の研究である。今年度は、一般デーンツイストの幾何学的解釈を得るためにG. Massuyeau氏(ブルゴーニュ大学)との研究協力を行い、一般デーンツイストと3次元のホモロジー同境の関係を調べた。より詳しくは以下の通り。曲面上の閉曲線に対し、一方ではそれに沿う一般デーンツイストを考える。もう一方では、閉曲線の自己交差を曲面と区間の直積の中で解消して得られる結び目に沿う手術として得られる3次元のホモロジー同境を考える。両者が、同じ森田準同型(これはジョンソン準同型の精密化である)の値を持つという意味において、互いの第一次近似にあるということを証明した。結果はプレプリント(arXiv:1902.02592)にまとめ、投稿中である。 その他、曲面の写像類群に関連する研究成果として、以下のものが得られた。 1) ゴールドマン括弧積の形式性が、曲面群の群的マグナス展開の境界条件を導くことを証明した。これは以前証明された結果の逆にあたり、群的マグナス展開に対する境界条件の特徴付けを曲面上の曲線のトポロジーによって与えたことになる。結果はプレプリント(arXiv:1812.01159)にまとめ、投稿中である。(A. Alekseev氏(ジュネーブ大学)、河澄響矢氏(東京大学)、F. Naef氏(MIT)との研究協力を行った) 2) ハンドル体の写像トーラスのトポロジーを調べ、ハンドル体写像類群の上のある2次不変量の明示的公式を与えた。結果はプレプリント(arXiv:1904.00203)にまとめ、投稿中である。(佐藤正寿氏との研究協力を行った)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般デーンツイストと3次元のホモロジー同境の関係を定量的に示すことは、本研究の第一の目標としていたものである。本年度は、両者の第一次近似的な関係について、最良と思われかつ満足の行く結果を証明することができ、さらに成果を論文にまとめることもできたので、研究は順調に進展しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
一般デーンツイストと3次元のホモロジー同境の関係について、1次近似を超えた範囲の考察を行う。特に、閉曲線の自己交差の情報がどう反映するかに着目して研究を行う。引き続き、G. Massuyeau氏との研究協力を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせのための出張を2018年11月に計画していたが、都合がつかなかったためとりやめる事態が生じた。関連する研究打ち合わせは次年度以降に行う予定である。
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