2021 Fiscal Year Research-status Report
ゲージ重力対応による、創発する時空とブラックホールの構造解明研究
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18K03619
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飯塚 則裕 大阪大学, 理学研究科, 助教 (40645462)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超弦理論 / エンタングルメントエントロピー |
Outline of Annual Research Achievements |
* エンタングルメントエントロピーは、例えばスピン系などのように、Hilbert 空間が直積の構造を持つ場合、明快な定義があり、物理的にそれは取り出せるBell Pairの数に対応している。しかし連続的場の理論、その中でも特に、ゲージ理論のようにガウスの法則によりHilbert 空間が直積を持たない場合、取り出せるBell Pairに相当するエンタングルメントエントロピーをどのように経路積分で計算するかは永らく未解決問題であった。
* 本問題に対し、Lehman college および citi university of New York(米国)のDaniel Kabat氏と、大阪大学の姉川尊徳氏とともに、砂時計計算法という全く新しい経路積分による計算手法を我々は開発し、この手法によりHilbert 空間を分割することなくBell Pairに相当する正しい係数をいくつかの具体的例で正しく導くことに成功した。
* より具体的には、2次元のさまざまな場の理論において、空間領域を平面で2分割した時、得られるエンタングルメントエントロピーがただしくBell pairに相当する量をこの砂時計経路積分法によって導出できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エンタングルメントエントロピーを、Hilbert空間の直積構造を仮定せずにどう定義し計算するかは長らく未解決問題であった。我々の研究はこれに対し、砂時計計算法という新しい手法を提案し、その手法をいくつかの具体例で実際に計算を行いそれが正しいBell pairに相当する物理量を出すことを示した。具体的には、我々は2次元や4次元などのスカラーの場の理論で、領域を平面を境界として分割する分け方に対して、正しいエンタングルメントエントロピーを導出するのかをしめすのに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこの知見で得られた新しい砂時計法を、領域を平面ではなく、球面に分割した時、正しいエンタングルメントエントロピーを導出するかについて計算を進めていく。特に、4次元ゲージ理論では、Hilbert空間が直積構造を持たず、かつ、領域を球面で分割した時のエンタングルメントエントロピーの係数が正しくBell pairに相当する量になるのかは近年さまざまな文献によって議論されている。我々は。4次元ゲージ理論で、領域を球面で分割したときのエンタングルメントエントロピーを砂時計経路積分方によって計算しそれがただしい物理量をなるのか、そして砂時計経路積分の有効性を検証していく。どうじにこのまったく新しい計算方法が、ゲージ重力対応を介して、重力側でどのような新しい知見を示してくれるのかも検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた最大の理由は、前年と全く同じく、コロナウィルスのパンデミックのため、全ての海外での研究会参加や海外出張、および共同研究者の招聘が不可能になり、旅費や人件費として使用計画を立てていた費用がすべて使用できなくなったためである。
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Research Products
(3 results)