2019 Fiscal Year Research-status Report
Phenomenological study of new physics with neutrinos
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18K03653
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
安田 修 首都大学東京, 理学研究科, 教授 (50183116)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ニュートリノ振動 / 標準模型を越える物理 / フレーバー混合 / 非標準的相互作用 / ニュートリノの質量 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽ニュートリノ実験とカムランド実験による質量二乗差の測定値が約2σ異なっている点が研究者の関心を集めている。この質量二乗差の違いは、ニュートリノ伝播に影響を与えるフレーバー依存性のある非標準相互作用により説明ができることが知られている。非標準相互作用を仮定した場合の太陽ニュートリノの解析では、実質的に低エネルギーにおける二世代の問題に帰着させて行われるいる。このため、加速器ニュートリノによる長基線実験に対して従来行われる解析では3行3列の行列要素(ε_{αβ}, αβ=e,μ,τ)が使われており、太陽ニュートリノの解析に現れるパラメーター(ε_D, ε_N)とは異なるため、直接の比較が難しくなっているだけではなく、余分な自由度に対する最適化が必要となっている。この研究では、加速器ニュートリノ実験のうちでも比較的低エネルギーの部類(E<約1GeV)に属するT2HKとT2HKKを想定し、太陽ニュートリノの解析と同様の近似で、非標準相互作用の無次元パラメーターが小さいという仮定のもとに、ニュートリノ振動の確率を求めた。その結果、(ε_D, ε_N)の他に余分なパラメーター1個を増やすだけで、振動確率を表すことが出来ることがわかった。さらに、基線長の異なるT2HKとT2HKKの2つの実験を組み合わせることにより、実験的誤差が十分小さい場合には、質量階層性(Δm_{31}^2の符号)、θ_{23}のoctant(π/4-θ_{23}の符号)、CP位相δ、非標準相互作用のパラメーター3個を原理的に決定できることを、非標準相互作用のパラメーターが小さいという仮定のもとに、解析的に示した。T2HKK実験は、低エネルギーで基線長が1000km以上の唯一の加速器ニュートリノ実験計画であり、非標準相互作用に関する解析の簡単化はその特長の一つとして挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニュートリノ振動の現象論に関して、当初の予定にしたがって大体計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は低エネルギー加速器ニュートリノの現象論を中心に研究したが、今後は、大気ニュートリノに着目し、低エネルギー領域における非標準相互作用、高エネルギー領域における吸収とフレーバー混合の競合現象について議論する。
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Causes of Carryover |
2019年度に予定していた国際会議での複数の発表が、大学学内の業務期間と抵触して参加できなくなったため、旅費の執行が減少した。2020年度には一層活発な成果の発表を行う予定である。
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