2020 Fiscal Year Research-status Report
Phenomenological study of new physics with neutrinos
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18K03653
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
安田 修 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (50183116)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ニュートリノ振動 / 標準模型を越える物理 / フレーバー混合 / ステライルニュートリノ / 吸収効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、南極のIceCubeなどの観測施設で、1TeV以上の高エネルギーニュートリノが精力的に観測されてきている。ニュートリノは、低エネルギーでは物質中を通過する際には吸収効果(物質と反応してニュートリノが前方以外に散乱される効果)は良い近似で無視することが出来る。一方、IceCube等で観測されているような高エネルギーニュートリノの場合には、特に地球の内部を地球の半径程度の距離を通過して来る場合、吸収効果が無視出来なくなって来る。この吸収効果はニュートリノのフレーバー固有状態に対して定義されているため、ニュートリノ振動の議論をする場合にはその確率が吸収効果に複雑に依存するが、標準的三世代の枠組みにおいては質量二乗差が小さいため、高エネルギー領域ではニュートリノのフレーバー変換は起こらず、これまではほとんど議論されて来なかった。しかし、1eV^2程度の大きさの質量二乗差があるステライルニュートリノのシナリオの場合には、高エネルギー領域でニュートリノ振動の確率は吸収効果・従来の物質効果・質量による振動効果に非自明に依存することが、2002年のNaumovによる二世代の研究により知られている。この研究では、(3+1)-スキームと呼ばれるステライルニュートリノの現実的な枠組みを想定して高エネルギー領域でどのようなニュートリノのフレーバー変換が起こるかを議論した。又、(3+1)-スキームでは、高エネルギーで太陽ニュートリノ振動・大気ニュートリノ振動の質量二乗差を無視したとしても混合角が全てゼロでない場合には二世代の場合には帰着せず、フレーバー変換現象の解析的な議論が難しくなるが、二世代のフレーバー混合に帰着するような2つの場合について解析的な議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
参加を予定していた国際学会の開催が新型コロナのために中止又は延期となり、成果の発表とそれによる専門家からのフィードバックを取り入れて研究をさらに進めるのに支障があり、研究の進展がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は国際学会等にはオンラインで参加して成果の発表を行うとともに、最新のニュートリノの実験データ等の情報を入手するよう努力し、当初の研究計画を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国際学会の開催が新型コロナのために中止又は延期となり、当初計画していた海外出張の費用を翌年度に繰り越し、翌年度に研究とりまとめを行うことにした。
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Research Products
(5 results)