2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K03678
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山内 誠 宮崎大学, 工学部, 教授 (80264365)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Be X線連星 / X線観測 / 可視光観測 / 自動観測システム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度当初から国際宇宙ステーション搭載全天X線監視装置MAXIが2009年の稼働開始から現在までに観測したデータを利用し、Be X線連星のX線データ解析を行った。対象とした天体はGX304-1、V0332+53、4U0115+63、A0535+262、GRO J1008-57であり、X線光度変化に伴うスペクトル変化の有無を調査し、スペクトル変化の見られたV0332+53、4U0115+63については、その変化をもたらす物理パラメータの特定を行っているところである。一方、可視光での観測では、観測条件の関係から選択したBe X線連星Swift J0243.6+6124について、V、B、R、Iの4バンドでのフィルター観測を、平成30年度は手動で行い、X線と同期した2回のアウトバーストを捉えることができた。これらの観測データからバンド間の強度を比較することで可視光におけるスペクトル変化を調査している段階である。 可視光長期観測を実現するためには観測の自動化が不可欠である。平成30年度はガンマ線バースト追観測用に開発した口径30cm望遠鏡の自動観測システムの再整備を行い、人工衛星等が新規に発見、もしくは増光を検出したX線連星だけでなく、ガンマ線バーストの観測も行い、重力波対応天体の同定も視野に入れた自動観測を開始できるよう最終的な調整を行っている。また、口径50cm望遠鏡の自動化に向けたドーム制御のシステムも構築し、長時間無人連続観測を可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
可視光観測は、主に口径50cm望遠鏡を利用して観測を開始することとしているが、平成30年度は自動観測に向けた整備も同時に行うため、手動による観測から開始する計画としていた。これについては予定どおり10月からフィルター観測を開始し、2度の増光を捉えることができた。また、人工衛星等からの情報を基に、即時性の必要な天体を自動観測する口径30cm望遠鏡システムの整備も、若干の最終調整が残ってはいるものの、ほぼ計画どおり進んでいると言える。 X線観測については、国際宇宙ステーション搭載全天X線監視装置MAXIを利用して、本研究開始後に観測したデータに加え、過去に蓄積したデータも含めた解析を年度当初から行い、アウトバースト時のX線光度変化や、それに伴うスペクトル変化の調査も進めている。 以上により、本研究はおおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には口径50cm望遠鏡ドームの自動制御を可能とした。本年度は望遠鏡の駆動システムを変更し、ドーム制御と連動させることで自動観測システムを構築する。このため、老朽化した現在の望遠鏡駆動コンピューターを更新する予定である。一方、即時観測を担う口径30cm望遠鏡システムについては、本年4月1日から始まったLIGO/VirgoのO3観測によって発見される重力波イベントにも対応するよう速やかに調整を終え、人工衛星等が発見するX線増光天体と合わせて自動観測を行う予定である。 これらの装置開発と並行して、ブラックホール連星やBe X線連星の可視光フィルター観測を継続するとともに、国際宇宙ステーション搭載全天X線監視装置MAXIによるX線観測データの解析も行い、二つのエネルギー帯域における光度変化の関係について、その観測例を蓄積する。より多くの観測によってデータを収集するためには、可能な限りデータ解析を自動化することも重要である。したがって、自動解析方法の検討と、新規コンピューターの導入も含めた解析環境の整備も進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
物品費については、CCDカメラの新規機種が販売開始されため、購入計画を見直し冗長系を確保したため、全体的に年度の当初計画より多めに必要となった。これに伴い、人件費、その他の支出を控え、旅費を抑えるることとした。しかし、旅費関係では、関東で開催されるMAXI研究者の打ち合わせ日程と調整がつかず、回数が予定より少なくなったため本学の研究費を活用したことと、データの解析方法を検討するための研究者の招へいを計画していたが、当該研究者による年度内の出張が困難であったため研究者の招へいが実現できなかったことから残額が生じた。 残額分については、研究者の招へいを令和元年度の早い時期に実施するべく調整中であり、また、これまでの研究成果を公表するために学会、研究会への出席を増やす予定である。
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Research Products
(1 results)