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2019 Fiscal Year Research-status Report

Reevaluation of Al-Mg chronology in the early Solar System

Research Project

Project/Area Number 18K03720
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

比屋根 肇  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70192292)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsアルミニウム26 / マグネシウム同位体 / 初期太陽系 / 誘導結合プラズマ質量分析計 / 二次イオン質量分析計 / コンドルール / 始原的隕石 / 難揮発性包有物
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、昨年度にひきつづき、地球の標準試料を用いて、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)によるマグネシウム(Mg)の同位体分析の精度・再現性のチェックをおこなった。具体的には、酸に溶かした岩石試料からのMgの抽出・精製過程の最適化とICP-MSの分析シークエンスの最適化をおこなった。その手法を用いて、始原的なLコンドライトであるNorthwest Afraica (NWA) 7936隕石 (L 3.15) 中のコンドルールのMg精密同位体分析およびAl/Mg比の分析をおこなった。分離したコンドルール試料を荒く粉砕したのち、実体顕微鏡下で色の濃淡を用いてオリビン斑晶とマトリックスの鉱物分離を試みた。しかし、結果的には分離は不完全であることが明らかになった。そのため今年度はデータ数を増やすことができなかった。少数の分析結果ではあるが、先行研究の予備的な分析結果と合わせると、この隕石中のコンドルールのマグネシウム同位体比(26Mg/24Mg)が地球のマグネシウム同位体比と比べて非常に低い値(-10から-20 ppm)を示す傾向が見えてきた。とりわけ、ひとつのコンドルール(L-T06)から分離した3つのフラクションの結果はよい再現性を示し、27Al/24Mg比はほぼ太陽組成、(26Mg/24Mg)比は平均で (-20.6 + 4.5) ppmと低い値を示した。このことは、太陽系の初生 (26Mg/24Mg)比に重要な制約を与えるとともに、26Alの初期分布の議論にも一石を投じるものである。この研究結果をもとに地球化学会年会にて発表をおこなった。本年度はまた、CH/CBコンドライト中の微小な難揮発性包有物(CAI)について、NanoSIMSによるベリリウム-ホウ素(Be-B)同位体分析とともにAl-Mg同位体分析をおこなった論文をジャーナルに投稿し、掲載された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究では、同じ普通コンドライトに対して、NanoSIMSとICP-MSの二通りの分析法で年代データを得ることを試みている。このうち、ICP-MSによる分析では、昨年度に引き続き、分析手法の改良・精度の向上に力を注いだ上で、実際の始原的隕石から分離したコンドルール試料の分析をおこなった。しかし、結果をみると、コンドルールの鉱物分離(オリビンとマトリックスの分離)が不調であったことが判明したため、少数の試料の分析にとどまった。また、特殊事情であるが、昨年度の実験室の引っ越し作業の影響や、2月以降の新型コロナウィルスの広がりの影響により、実験時間が限られるという制約があった。そのため、研究の進捗は予定より遅れる結果となった。しかし、少数の分析ではあったが、1つのコンドルールの3つのフラクションから得られたICP-MSの分析結果は非常に再現性がよく、平均をとることでそのコンドルールの全岩値を精度よく議論できることがわかった。その結果は、太陽系の初生マグネシウム同位体比に対して重要な制約を与えるものであり、それと関連した26Al分布の不均一性に関する議論をおこなうことができた。

Strategy for Future Research Activity

ICP-MSの分析手法の見直しを踏まえ、引き続き普通コンドライト中のコンドルールについて、マグネシウム同位体比の精密測定(Al-Mg年代学の研究)を進める。また、同じコンドルールに対して、NanoSIMSを用いたAl-Mg年代測定を実施し、相互の結果を比較することも試みたい。両者の結果を比較・総合することにより、個々のコンドルールに対する精密なアイソクロンと精密なマグネシウム初生同位体比の両方を求めることが可能になる。また、本研究のテーマとも重なる、Pb-Pb法とAl-Mg法を組み合わせた重要な論文が出現したことも踏まえ、それらを含むデータの吟味に加えて、他の年代測定法(Hf-W法、Mn-Cr法)との相互比較もおこないながら、本研究テーマに関するレビューを同時並行でおこないたい。それらを総合して、現時点でのこの問題に関する我々の理解と到達点を明らかにしたい。

Causes of Carryover

本年度はマシンタイムに制限が生じたため、実験に用いる予定であった消耗品費の一部などが次年度に持ち越すことになった。次年度に持ち越した分については、今年度予定していた実験等を実施する際に消耗品費などに使用する予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Origin of the Short-lived Radionuclide 10Be and Its Implications for the Astronomical Setting of CAI Formation in the Solar Protoplanetary Disk2019

    • Author(s)
      Fukuda K., Hiyagon H., Fujiya W., Takahata N., Kagoshima T., and Sano Y.
    • Journal Title

      The Astrophysical Journal

      Volume: 886:34 Pages: 1-11

    • DOI

      https://doi.org/10.3847/1538-4357/ab479c

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 初期太陽系における(太陽)宇宙線照射の重要な指標としてのベリリウム10の重要性2019

    • Author(s)
      比屋根肇、谷村佑貴、中村友哉、福田航平、藤谷渉、杉浦直治、鹿児島渉悟、高畑直人、佐野有司
    • Organizer
      日本地球惑星科学連合
  • [Presentation] Excess boron 10 observed in chondrules from Y82094 (C3.2) chondrite2019

    • Author(s)
      Hiyagon H., Fukuda K., Tanimura Y., Fujiya W., Sugiura N., Kagoshima T., Takahata N. and Sano Y.
    • Organizer
      82nd Annual Meeting of The Meteoritical Society
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 初期太陽系における太陽宇宙線の照射環境:CAI・コンドルールから推定されるベリリウム10の存在度からの考察2019

    • Author(s)
      比屋根肇、福田航平、谷村佑貴、藤谷渉、杉浦直治、鹿児島省吾、高畑直人、佐野有司
    • Organizer
      日本地球化学会年会
  • [Presentation] ICP-MSを用いたNWA7936コンドライト(L3.15)中のコンドルールのマグネシウム同位体分析2019

    • Author(s)
      飯田享浩、早川瑛庸、飯塚毅、比屋根肇
    • Organizer
      日本地球化学会年会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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