2018 Fiscal Year Research-status Report
近地球小惑星の物理進化と力学進化を結合する観測的・数値的研究
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18K03730
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
伊藤 孝士 国立天文台, 天文データセンター, 助教 (40280565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 二美 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 研究員 (20399306)
樋口 有理可 国立天文台, RISE月惑星探査検討室, 特任研究員 (90597139)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小惑星 / 偏光観測 / サイズ頻度分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は太陽系小天体の観測およびデータ処理の研究に主に注力した。特に近地球小惑星(3200) Phaethonの観測データが蓄積されており、その解析と物理的な解釈を行う作業に時間を掛けた。とりわけ以前に北海道名寄市に於いて取得されたこの天体の直線偏光度を詳細に測定したところ、この天体が50%以上という非常に強い直線偏光度を示すことが判明した。その要因には幾つかのものが考えられるが、いずれも近太陽小天体表面の物理進化と力学進化を結び付ける重要な鍵になる情報であり、本質的である。それについて論文を出版した。またメインベルト小惑星を含む太陽系小天体のサイズ頻度分布についてこれまで取得された観測データを詳しく比較検証した。その結果、近地球小天体から内側メインベルト・外側メインベルト・ヒルダ群・木星トロヤ群へと遠ざかるについてサイズ頻度分布が緩やかに変わり行くことを見出した。このことはかつて太陽系小天体の動径方向移動が大規模に発生したことを示す詳細である。これについても論文を執筆した。数値的な研究については次年度以降に行う大型シミュレーションの準備として計算コードの高速化に着手した。本高速化作業はだいぶ以前に書かれた汎用の重力N体問題計算についての長いソースコードを一行ずつ検証するもので、時間が掛かる。しかし効果は高く、現時点で既に+30%の高速化つまり実計算時間が70%程度へと縮減された。次年度もこれらの作業を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予期しない物事が幾つか発生しているものの、どれも深刻なものではなく想定内と言える。その意味では研究は計画に従っておおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように研究は概ね順調に進展しているので、研究計画の変更は無い。従って調書に記述した通りの研究計画の推進を粛々と進める。
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Causes of Carryover |
購入予定だった計算機物品(ストレージ用のHDD)の市場販売価格が下がり、予定よりも廉価で購入できたため、差額が発生した。この差額は翌年度に購入予定の更なるストレージ機器向けに転用する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Extremely strong polarization of an active asteroid (3200) Phaethon2018
Author(s)
Takashi Ito, Masateru Ishiguro, Tomoko Arai, Masataka Imai, Tomohiko Sekiguchi, Yoonsoo P. Bach, Yuna G. Kwon, Masanori Kobayashi, Ryo Ishimaru, Hiroyuki Naito, Makoto Watanabe, and Kiyoshi Kuramoto
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 9
Pages: 2486
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Optical observations of NEA 3200 Phaethon (1983 TB) during the 2017 apparition2018
Author(s)
M.-J.Kim, H.-J.Lee, S.-M.Lee, D.-H.Kim, S.-M.Lee, F.Yoshida, P.Bartczak, G.Dudzinski, J.Park, Y.-J.Choi, H.-K.Moon, H.-S.Yim, J.Choi, E.-J.Choi, J.-N.Yoon, A.Serebryanskiy, M.Krugov, I.Reva, K.E.Ergashev, O.Burkhonov, S.A.Ehgamberdiev, Y.Turayev, Z.-Y.Lin, T.Arai, K.Ohtsuka, T.Ito, S.Urakawa, and M.Ishiguro
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Journal Title
Astronomy & Astrophysics
Volume: 619
Pages: A123
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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