2019 Fiscal Year Research-status Report
火山構造性地震によるマグマ貫入量と噴火時刻の推定手法の確立に向けての試み
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18K03781
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中道 治久 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00420373)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 火山性地震 / 地震エネルギー / マグマ貫入量 |
Outline of Annual Research Achievements |
口永良部島火山は2014年および,2015年の噴火の後,2018年,2019年,2020年に噴火した.これらの噴火のうち,噴煙高度が6000mを超えたのは2015年と2020年の噴火であり,どちらの噴火においても前駆地震活動があった.2014年の噴火にて山頂近傍の観測点が破壊されたが,2016年5月に山頂近傍の観測点が構築され,地震の検知能力が向上した.そこで,2020年2月3日の噴火に前駆した火山性地震のモーメントとエネルギーを推定した.また,比較のため同年2月11日に傾斜変動をともなった火山性微動の前駆地震のモーメントとエネルギーを推定した.その結果,2月3日の噴火に前駆した地震の積算モーメントが1.1 x 10**10 Nm,エネルギーが5.5 x 10**5 Jと推定された.2月11日の傾斜変動を伴った火山性微動の前駆地震については積算モーメントが1.9 x 10**10 Nm,エネルギーが9.5 x 10**5 Jと推定された. また,複数の火山の文献調査から,噴火規模を決めるマグマ貫入量を地殻変動から推定される体積変化量と見なして,火山構造性地震のモーメント・エネルギーからマグマ貫入量を見積もるための経験式を算出した.そして,経験式を用いて口永良部島2020年2月3日の前駆地震時のマグマ貫入量を1.4 x 10**5 m**3と推定し,傾斜変動を伴った火山性微動の前駆地震時のマグマ貫入量を1.7 x 10**5 m**3と推定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年1月および2月に発生した口永良部島火山の噴火に前駆した地震の調査を急遽実施することになったが,新型コロナウイルス感染症対応の必要があり,予定通りには進めることが出来なくなった.
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の他の火山の噴火事例もしくは噴火未遂事例について地震データを収集して地震エネルギーもしくは地震モーメントの推定を進めていく.
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究打合せを別途出張と併せて実施した.また,2020年2月以降は新型コロナウイルス感染症対応のため出張をしなかった.そのため,旅費がかからなかった.次年度は新型コロナウイルス感染症の状況を鑑みて使用していく.
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